現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進展していると評価する。また、本研究を始める前に期待していた以上の研究成果を出すことができたと考える。 令和元年度の計画は、ガラスの振動モードを励起させてときに、その励起した振動モードの非調和性を明らかにすることであった。この目標は十分に達成でき、研究成果を次の論文にまとめることができた:H. Mizuno, M. Shimada, A. Ikeda, Phys. Rev. Research Vol.2, p.013215 (13pages), 2020。 本研究を実施する前は、局在化振動モードがより強い非調和性を示し、それに対してフォノン様振動モードは弱い非調和性を示すと予想していた。ところが、本研究によってそのような差はなく、両振動モードは同程度の非調和性を示すことが明らかとなった。この結果は、粒子が不規則に凝縮した“ガラス”というものの正体に迫る重要な発見であると考えている。すなわち、調和振動状態の性質に関係なく、同程度の粒子の配置換えを伴う非調和性が生じることは、ガラスの液体的な性質を示唆するものである。ガラスがまさに固体であると同時に、液体的でもあることを示すものである。この結果は、ガラス物性の理解に大きく貢献するものであり、ガラス物性の分野にインパクトを与えることができたと考える。
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