研究課題
本年度は大阪大学レーザー科学研究所の大型レーザー装置LFEXを用いて実験を行ったほか、昨年度までにドイツ重イオン器研究所のレーザー施設PHELIXで行った実験結果の詳細解析と論文執筆を進めた。本研究で追及する強磁場生成機構の根幹は,相対論強度域のレーザー相互作用による電子の排斥効果を利用してミクロンサイズのコイルにメガアンペア級の円環電流を流すことにある.当初より検討されてきた円筒形ターゲットの内壁を照射する体系では,10 kT級の「反平行磁場」が生成することが分かっている.昨年度までの取り組みでは,この反平行磁場の特性評価と磁場の界面で起こる磁気リコネクションに焦点を置いた宇宙物理学実験の可能性などを検討してきた.本年度は磁場の制御性を高めるべく,ターゲット形状の工夫によってキロテスラ級の多様な磁場配位の実現性を検討した.その結果,円筒型ターゲットでは反平行磁場,蝸牛型ターゲットでは一方向性の磁場,球殻ターゲットではトロイダル磁場の生成が可能であることが確認された.これらの結果を受けて,現在は一方向性磁場及びトロイダル磁場の生成に関して,それぞれ論文執筆を進めている.また,本年度はこれらの強磁場によるプラズマ閉じ込め効果がもたらす核融合反応の高効率化なども実験で確認され,強磁場の制御技術の進展によって拓けた新たな応用展開について,国内学会で報告した.また,本件に関連するデータ解析法の進展について国際会議で招待講演を受けた. 本年度の予算は主に,実験のためのターゲット製作費,特に新しい形状のターゲットに関する予備試験を行うための専用真空容器とその排気系の整備費用,またターゲット位置調整装置に組み込む部品や制御機器(タブレット)の購入費,データ解析のための計算ソフト(Mathematica)のライセンス費用に充てた.
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Review of Scientific Instruments
巻: 92 ページ: 063301~063301
10.1063/5.0043628