研究課題/領域番号 |
19K14690
|
研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
浜地 志憲 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60761070)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | プラズマー材料相互作用 / Heバブル / 金属の表面改質 / 熱パルス / 電子ビーム |
研究実績の概要 |
本研究の実験は、大きく分けて試料へのHeプラズマ照射実験と熱パルス実験、実験後分析の三段階に分けられる。 Heプラズマ照射については、新型コロナウイルス蔓延の影響もあり、Heプラズマ照射を行う予定であった外部装置の利用が当初の予定で進められないことが予想されたため、研究代表者の所属組織の直線型プラズマ装置TPD-IIを用いたHe照射実験環境の整備を進めた。TPD-II装置には材料へのプラズマ照射を行うための設備がなかったため、室温付近から1000 K程度までの広範囲の温度制御が可能な試料ホルダとして、水冷機能、ヒーター加熱機能、照射領域の電気絶縁、試料電流・電位測定、試料温度測定(K型熱電対)を持った温度可変試料ホルダの設計、製作を行い、TPD-II装置での初期的な運転試験を行った。2021年度は、TPD-II装置のプラズマ源の新造(別計画)が進められているため、これの終了を待ってプラズマ照射実験を開始する予定である。 熱パルス実験については、プラズマ照射実験が遅れた影響で本格的な実験は行わなかったが、昨年度までに制作した高速2色放射温度計での熱パルス測定を行い、想定された熱パルス中の表面温度測定が電子ビームを用いた熱負荷試験装置ACT2で実施可能であることを確かめた。 また、上記と並行してすでに作成したHe照射を受けたタングステン試料の電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いた分析を進めた。試料の結晶方位などがバブル形状等に与える影響について評価を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存のHe照射試料の分析については予定どおり進んでいる一方で、当初予定していた、新しい試料での各温度でのHeプラズマ照射については、予定していた近隣大学設備での実施ができなかったため、本年度に予定していた熱パルス試験の実施までは進めることができなかった。しかし、所属組織でのHeプラズマ照射の目処をつけることができたため、2021年度からは、予定よりも効率的に実験を実施できると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度では2020年度までに整備したプラズマ照射設備を用いて、材料へのHeプラズマ照射と熱パルス実験を順次進め、得られた試料の表面分析を進める予定である。熱パルス実験では、本課題内で製作した高速2色温度計測設備を利用する。プラズマ照射実験、熱パルス実験ともに、これまでに行った照射実験よりも詳細な温度制御・計測が期待できるため、Heバブル形成について詳細なデータ取得が期待できる。これを踏まえて熱パルスによるHeバブルへの影響について、これまでよりも詳細な評価を進めることを予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス蔓延の影響により、外部装置の利用が進められず所属機関内でのプラズマ装置設備を行ったため旅費のみならず物件費にも変更が生じた。2021年度には照射実験を予定しており、実験環境の整備を進める。
|