研究課題
本研究の目的は、現在、化学種の影響を中心とした研究成果や製品開発が先行している大気圧プラズマを用いた生体応答誘導技術の機構解明である。初年度は、リアルタイム立体配座変化測定を通して電界によるタンパク質の二次・三次構造の可逆的な変化、およびプラズマ照射によるタンパク質分子の不可逆的な断片化を明らかにした。R.2年度は新たな課題となったプラズマにより発生する化学種量の定量評価方法を確立した。生体応用誘導作用については、研究実施者の所属機関移動に際し研究対象として植物を新たに扱うことで本研究を進た。続いて、プラズマ照射システムの構築や、プラズマ照射に対する植物の応答、すなわちフェノタイプ解析、オミクス解析により、生体応答誘導への至適条件を明らかにした。R3年度はプラズマによって発生する化学種の定量評価方法の確立を目指し、種子応答に重要な特定の活性種NO3-に対して高感度に定量測定する方法を確立した。分析機器およびサンプリング方法等の改善により、検出感度が飛躍的に向上し、これまで報告がないレベル、すなわち世界最高感度にて測定できることが明らかとなった。これらにより、生物学的影響を定量的に解析し、本研究を飛躍的に進める態勢が整ったと考えている。今後、上記の手法を組み合わせることにより、機序解明に向けた取り組みとして化学種の定量評価に基づく生体応答誘導解析を行う。生体内に導入されたNO3-に対する分子機構が未解明であることを考えると、本研究は追加の農地や水、肥料を必要としない持続可能社会の構築を後押しする食糧生産量の増産法と期待されるだけでなく、プラズマ科学発信の分子生物学といった異なる学問領域への貢献も期待できる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 3件、 招待講演 10件) 図書 (1件)
Agronomy
巻: 12 ページ: 482~482
10.3390/agronomy12020482
RSC Advances
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