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2021 年度 実施状況報告書

銀河の多点相関関数解析を用いたダークエネルギーの制限

研究課題

研究課題/領域番号 19K14703
研究機関国立天文台

研究代表者

杉山 尚徳  国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (70728360)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード銀河三点相関関数 / ダークエネルギー
研究実績の概要

現在の宇宙は加速的に膨張しており,その原因は,ダークエネルギーという未知のエネルギーが宇宙に満ちている体と考えられています.しかしながら,ダークエネルギーの理論的正体は現在では全くの不明です.アインシュタイン方程式の中で宇宙定数という項を加えることで現在の加速宇宙を説明できることは知られていますが,それには宇宙定数を不自然なまでに小さい値とする必要があります.ダークエネルギーは本当に宇宙定数なのか,時間発展はしないのか,などは,私の専門である観測的宇宙論における主たる興味となっています.

これまでダークエネルギーの制限には,数十万個にも及ぶ銀河の分光データから,銀河の2点相関関数という統計量が用いられてきました.本研究では,2点相関関数を超えて,銀河の3点相関関数という新たな統計量を測定し,そこからダークエネルギーへの制限を与えることを目的としています.これまで私は,銀河の3点相関関数の新たな測定手法を開発し,また測定値を説明するための理論モデルを用意するなど,宇宙論的な統計解析に必要な道具を全て一から開発してきました.そして,実際の宇宙を模したモックシミュレーションデータに対し,私の開発した解析手法を適用し,正しく宇宙論パラメータを推定できることも確認することに成功しました.これらの研究成果をもとにして,現在では,確立した解析手法を実際の銀河データに適用する研究を進めており,近々研究も完成予定となっています.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

銀河の非等方三点相関関数という,私独自の統計量解析手法を確立するにあたって,事前の予想とは異なる様々な発見がありました.例えば,シミュレーションにおいて妥当性を確かめた私の解析手法を実際の銀河データに適用する際,私の構築した理論モデルとの隔たりがあり,測定結果を説明するには新たな補正を必要とすることを発見しました.このように,研究を進めることで当初の予想を上回る発見があり,計画以上に研究が進展していると判断しました.

今後の研究の推進方策

今後の研究は,シミュレーションにおいてその妥当性を確かめた,銀河三点相関関数の解析手法を,実際の銀河データに適用する研究を完成させることです.そうすることで,世界最高精度のダークエネルギーへの制限を達成することが可能となると考えています.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は,コロナウイルスの影響で,例年に比べ学会発表や研究打ち合わせのための海外出張等が減少したためです.

次年度使用額と2022年度の助成金を用いて,PCクラスターを購入予定です.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Second-order peculiar velocity field as a novel probe of scalar-tensor theories2022

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi Daisuke、Sugiyama Naonori S.
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 105 ページ: 063515

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.105.063515

    • 査読あり
  • [学会発表] 時間巻き戻し銀河バイスペクトルを用いた原始非ガウス性の検証2021

    • 著者名/発表者名
      杉山尚徳
    • 学会等名
      立教大学コロキュウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 銀河分光観測を用いた宇宙論2021

    • 著者名/発表者名
      杉山尚徳
    • 学会等名
      統計数理研究所オンラインワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] 非等方銀河3点相関関数を用いた修正重力理論の検証2021

    • 著者名/発表者名
      杉山尚徳
    • 学会等名
      第10回観測論的宇宙論ワークショップ

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公開日: 2022-12-28  

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