研究課題/領域番号 |
19K14705
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研究機関 | 徳山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 勇貴 徳山工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (70714161)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 格子重力 / 低次元模型 / 臨界現象 |
研究実績の概要 |
力学的格子の理論は時空の量子揺らぎを取り扱う理論である。特に力学的格子上に物質を導入することで時空の量子効果に起因した絶対零度の臨界現象である量子臨界現象を議論する。我々は2021年度までに力学的格子の理論として2次元力学的単体分割を用いて、物質として原子等の磁気モーメントを模したイジングスピンを導入した場合、実際に量子臨界現象が起き、量子臨界点への近づき方により異なる振る舞いが現れる事を示した。2022年度は2次元力学的単体分割とは異なる力学的格子理論である2次元量子レッジェ計算法を用いて時空の量子効果に起因する量子臨界現象を調べ2次元力学的単体分割の場合と比較することは有用であると判断し、準備として物質を導入しない2次元量子レッジェ計算法の解析を行った。特にテンソル繰り込み群の手法を用いた数値計算でローレンツ型2次元量子レッジェ計算法においてある特定の積分測度及び三角形分割を採用した場合、断裂幾何と呼ばれる特異な配位は格子数が無限になる極限において支配的ではなくなる兆候を得た。2023年度は2次元量子レッジェ計算法で積分測度及び三角形分割を変えた場合においても同様に格子数が無限になる極限において断裂幾何は抑制されている可能性を支持する結果を得た。この結果は断裂幾何の抑制がある特定の積分測度及び三角形分割に特有な結果ではない可能性を示しており、普遍性の観点から望ましい性質である。本結果をまとめた論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた力学的格子とは異なる力学的格子を利用する方向性を見出し、これを利用するための計算ツールの構築、その性質の理解について着実に進展があるため。
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今後の研究の推進方策 |
2次元量子レッジェ計算法及び2次元力学的単体分割において、イジング模型の量子臨界現象を調査する。またある種の単純化した力学的格子において横磁場イジング模型を結合した場合の量子臨界現象の解析も実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で当初予定していた出張がキャンセルになったため。
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