研究課題/領域番号 |
19K14745
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
杉村 仁志 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 特別助教 (80739136)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | BPM / FPGA |
研究実績の概要 |
本研究ではmicroTCA規格を用いたビーム診断システムを開発することであり、2019年度はアナログ波形からビーム位置を算出するアルゴリズムをFPGA上で実装することを目標とした。当該年度では4電極の基本的なアルゴリズムの生成に重点を置いた。アナログ波形は実際の波形の疑似信号をファンクションジェネレータを用いて生成し、AD変換の後、デジタル処理を行う。デジタル処理はFPGA内部で行い、ここで位置情報へ変換する。FPGAにはXilinx製Kintex7を用い、評価ボード(KC705)を利用してFPGAのコンフィグレーションを行った。振幅比や振幅の絶対値を変えることで位置に変換する際の分解能の違いなどを評価した。また、変換アルゴリズムの算出時間も計測した。SuperKEKB加速器で用いるためにビーム間隔96nsでの2バンチ運転に対応する必要があり、AD変換の時間幅も調整する必要がある。そのための評価を行い、また2バンチが同時に計測できるようなアルゴリズムも開発した。ノイズによる分解能の悪化なども評価すべきだったが、そこまでには至らなかった。 またSuperKEKB加速器は他の加速器(PF,PFAR)との同時運転にも対応したビーム診断が必要なため、時刻同期なども組み込む必要があるが、この評価には別に作成したAVNET製のZynq評価ボードを用いた。現時点では独立な評価ではあるが同期システムに関してもアルゴリズムを組むことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度はビーム診断システムの基礎的な研究としてFPGA内のアルゴリズムの実装とその評価に重点を置くことを目標としていたため、順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
FPGAでの実装を引き続き行い、実機作成により近い8電極用のアルゴリズム生成を行っていく。ここでは位置情報の算出時間や精度、さらにはSuperKEKBビーム運転時に利用するために時刻同期システムとの融合も目指していきたい。 同時にmicroTCA規格のAMC(Advanced mezzanine card)作成の検討も開始する。 また、当該年度で得られた評価を研究会等で発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
microTCA規格のビーム診断システムの実機製作が年度をまたぐ状態になる可能性があり、繰越を行い予算が十分な状態で実機製作に取り組みたかったため。
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