研究課題/領域番号 |
19K14752
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 宜昭 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (60631116)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 銀河進化 / 高赤方偏移銀河 / クエーサー / 原始銀河団 / 多波長観測 |
研究実績の概要 |
今年度はサブミリ波のジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)の広視野カメラSCUBA-2で取得したデータを解析し,高赤方偏移クエーサー周囲にあるサブミリ波で明るい天体を検出した.その観測結果をもとに,ミリ波干渉計ALMAに広視野モザイク観測提案を提出したところ,フィラープログラムとして採択された.ALMAによる観測データが取得されたら速やかに解析し,JCMTの結果と合わせて幅広いフラックス密度範囲におけるミリ波天体の個数密度を導出して平均的な領域での結果と比較したい. それと並行して,すばる望遠鏡の広視野可視カメラHyper Suprime-Cam(HSC)で発見した,活動銀河核を持つ可能性のある高赤方偏移にある明るい星形成銀河やその周囲の領域に対するミリ波観測を,ミリ波干渉計ALMAおよびNOEMAに提案して採択された.これらの観測はすでに実施され,データの整約およびその解析に着手しているところである. さらに,すばる望遠鏡にケック望遠鏡およびジェミニ望遠鏡を組み合わせた国際共同観測により,静止系紫外で明るい星形成銀河の高密度領域を高赤方偏移で分光同定した.それらの天球面分布を,同程度の赤方偏移にあると期待されるサブミリ波で明るい銀河のものと比較したところ,有意な相互相関があることがわかった.このことは,当時ダストに覆われていた星形成とダストに覆われていない星形成が,同じような場所で生じていたことを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,サブミリ波・ミリ波による観測を提案して無事に採択され,一部はすでに実施されてデータを取得することができた.また可視観測により星形成銀河の高密度領域を高赤方偏移に分光同定し,サブミリ波観測結果との比較からそれらの間の相互相関を明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
ALMAで採択されている観測プログラムが実行されてデータを取得することができたら速やかに解析してミリ波天体を検出し,その個数密度を導出する.その中で興味深い天体が見つかれば追観測提案を提出する.また,すでに取得されているミリ波データを解析し,論文にまとめて報告したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の観測旅費2件のうち1件は先方の観測所から支援してもらえたため,当初の見込みより旅費を低く抑えることができた.次年度使用額は主に観測や研究会参加のための費用として使用する予定である.
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