本研究課題の目的は、太陽型原始星に対して、円盤形成領域における物理構造と化学組成分布、およびそれらの相互関係を高解像度で明らかにし、惑星系形成領域での物質進化の理解を大きく前進させることである。とくにその有効な切り口として、硫黄を含む分子 (硫黄関連分子) に着目し、高い感度と空間解像度での電波観測実験を実施した。 観測された硫黄関連分子の輝線を解析し、原始星を取り巻く複雑な物理構造を切り分けた。これにより、物理構造の変化に伴い、硫黄関連分子の分布が急激に変化する様子を明らかにした。また、天体間での硫黄関連分子の組成の多様性を見出すとともに、その化学進化の統一的描像を提起した。
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