研究課題
本研究は、近傍系外銀河のX線超新星残骸における衝撃波-星間雲相互作用の研究を通して、宇宙線電子加速機構の一般的描像の獲得を目的とする。本年度は、電波望遠鏡 Mopra/ASTE/ALMA で得られた観測データの解析、および成果の取りまとを中心に進めた。主な成果は以下の通りである。[1] 大マゼラン雲の超新星残骸 N132D について、ALMA/ASTE による CO(J=1-0,3-2) データを解析した。結果として、X線シェルの縁または内部に位置する9個の分子雲を特定した。これらは CO J=3-2/1-0 強度比の有意な上昇を示すことから、衝撃波加熱された分子雲であると結論した。X線スペクトル解析から求めた星間吸収柱密度や電離パラメータは、当該分子雲が衝撃波に完全に飲み込まれていると考えて矛盾せず、宇宙線陽子の標的として機能することを示唆する。そのためガンマ線光度との比較を通して、被加速陽子のエネルギーを ~0.5-3.8x10^49 erg と見積もった。当該研究成果は査読付き主著論文として出版済みである (Sano et al. 2020, ApJ, 902, 53)。[2] 小マゼラン雲およびM33に位置する超新星残骸17個について、ALMAによるCO(J=2-1)データを解析した。結果として、少なくとも半数で付随分子雲候補を検出した。ASKAP HI との比較により、水素原子ガスの膨張運動も捉えることができた。これは超新星爆発前の母天体からの恒星風や質量降着風によって形成されると考えられるため、星間雲の付随に対する補助的証拠を与える。成果は査読付き欧文誌として準備中である。なお本研究は、同研究代表者の基盤研究B「ALMA電波干渉計で探る超新星残骸の宇宙線加速機構」が採択されたため中途終了としたが、研究計画の一部は基盤研究Bとして引き続き推進していく予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 9件、 査読あり 15件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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