研究実績の概要 |
宇宙に普遍的に存在する超巨大ブラックホールの成長史を探るため、本年度は下記に述べるような研究成果を得た。 eROSITA衛星が Calibration and Performance Verification (Cal-PV) phase に取得したデータを用いて、eFEDSと呼ばれる天域にある活動銀河核 (AGN) の素性調査を行った。 NASAの赤外線衛星 WISEで選ばれた flux-limited 銀河/AGN サンプルに対して、eROSITAによるX線データを適用し、X線で検出されたものに対してはX線スペクトル解析・スペクトルエネルギー分布 (SED) 解析・銀河形態解析などを実施し、X線で検出されたなかった天体に対してはスタッキング解析をすることで天体種族の平均的な物理量を算出した。特に興味深い結果としては (i) X線で検出された天体の多くは比較的ダストの少ない unobscured AGN であるのに対し、X線で未検出の天体は dust-obscured AGN の兆候がありこれまで見落とされてきたような Comption-thick AGN の候補もいること (ii) AGN からの輻射による feedback を受けている天体の割合は高赤方偏移に向かうにつれて増加することが分かった (Toba et al. 2022a, Astronomy & Astrophysics, 661, A15)。
また、2019年から続けてきた 京大せいめい望遠鏡のKOOLS-IFUを用いた近傍超/高光度赤外線銀河の可視光線面分光観測の初期成果を得た。(i) 銀河合体ステージが進むほどAGN起源のアウトフローが強くなること、 (ii) その傾向は銀河中心ほど強いこと を発見した。結果は論文として投稿済みである (Toba et al. 2022b, PASJ, re-submitted)。
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