| 研究課題/領域番号 |
19K14768
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| 研究機関 | 神奈川大学 |
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研究代表者 |
竹川 俊也 神奈川大学, 工学部, 助教 (10827851)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 銀河系中心 / 分子雲 / 中間質量ブラックホール |
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| 研究実績の概要 |
本年度は、高速度コンパクト雲HCN-0.044-0.009およびHCN-0.085-0.094方向のALMA観測イメージ内に検出された2つの超小型高速度コンパクト雲(ultra-compact clump; UCC)について解析を進めた。これらUCCは、これまで発見されている高速度コンパクト雲と同程度の速度幅(~50 km/s)を有する一方で、これまでに行なったALMA観測(1秒角分解能)においても空間分解はできておらず、その視直径は0.04 pc以下と極めて小さい。MeerKAT、Spitzer、Chandra等で取得された他波長域における公開データを精査したが、同方向には対応天体は検出されていなかった。これらUCCについて、HCN(4-3)/HCO+(4-3)輝線強度比を調べたところ、HCN-0.044-0.009方向に位置するUCCが極めて高い強度比を示すことがわかった。これはHCN分子存在量がHCO+分子に対して局所的に増加していることを示唆し、過去の強いX線照射もしくは衝撃波の影響を受けている可能性がある。対応天体が検出されないことと広い速度幅を有する事実から、このUCCは1000太陽質量程度以下の非活動的な中間質量ブラックホールとの重力相互作用の結果生じている可能性が考えられる。より詳細にUCCの内部構造を分解し、運動および物理状態を精査するために、ALMA cycle8において追観測を提案したところ、採択され一部観測が実行された。
また、昨年度までに野辺山45m電波望遠鏡の観測により取得した銀河系中心領域の広域サーベイデータの解析を更に進め、HCN(1-0)およびHCO+(1-0)輝線の光学的厚みおよび励起温度を評価し、複数の高速度コンパクト雲について質量や運動エネルギー等の物理量や[HCN]/[HCO+]存在量比を調べた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、中間質量ブラックホールを内包している可能性がある高速度コンパクト雲HCN-0.044-0.009およびHCN-0.085-0.094について、より詳細に分子ガスの位置-速度構造を把握し、中間質量ブラックホールに対応する点状電波源を探査するためのALMA観測が完了している予定であったが、こちらの観測提案は一度不採択となった。本年度、内容をブラッシュアップし再提案を行なったところ採択され、観測も順調に進み出したため、研究計画に遅れは生じたものの大きな変更は必要ないと判断している。並行して推し進めている野辺山45m鏡を用いた銀河系中心領域の大規模サーベイ観測については、解析を進め、それらの成果をまとめた論文を準備しているが、執筆にやや遅れが生じている。
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| 今後の研究の推進方策 |
現在ALMA cycle 8にて高速度コンパクト雲HCN-0.044-0.009およびHCN-0.085-0.094方向のイメージング観測が進行中であるが、データが揃い次第速やかにリダクションし、詳細な解析に取り掛かる予定である。具体的には、観測される分子ガス流の視線速度情報を基に、それらの軌道回転運動をモデル化し、高速度コンパクト雲内の"見えない質量"の空間分布を調べ、高速度コンパクト雲の運動が点状重力源との重力相互作用で説明可能かどうか精査していく。さらに、UCCの内部運動を詳細に描き出し、その起源を議論する。そして、これら結果を論文にまとめ研究期間内での出版を目指す。また、野辺山45m鏡での観測で得られた結果について現在執筆中の論文の執筆を進め出版を目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
観測および解析・議論のため野辺山宇宙電波観測所への出張を計画していたが、新型コロナウイルス蔓延の影響により断念した。また、全ての研究会・学会がオンライン開催となり出張の必要がなくなり、更に、計画の遅れによりALMA観測データの取得が次年度になりストレージ等の購入を見送ったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、観測や学会・研究会・会議等への出席のための旅費として使用予定である。特に、野辺山45m望遠鏡の共同利用観測が2021年度をもって終了し、2022年度より望遠鏡利用料が発生するようになったため、多くをこれに充てる予定である。
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