• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

紫外線散乱偏光スペクトルによる太陽磁場の精密測定

研究課題

研究課題/領域番号 19K14771
研究機関国立天文台

研究代表者

石川 遼子  国立天文台, SOLAR-Cプロジェクト, 助教 (00709636)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード太陽物理学 / 天文 / 紫外線 / 偏光 / プラズマ・核融合
研究実績の概要

2019年4月11日、アメリカ・ニューメキシコ州のホワイトサンズミサイル実験場にて、太陽観測ロケットCLASP2 (Chrmosphetic LAyer Spectro-Polarimeter) が打ち上がり6分間の観測に成功した。そして、世界初となる電離マグネシウム線(波長:280 nm)域の詳細な偏光スペクトルを得た。CLASP2観測装置は、国立天文台が中心となり、日米欧共同で開発を行ったものである。打ち上げ後、まずは、日米のチームメンバーと協力してデータ較正を行い、データ解析の準備を整えた。そして、ゼーマン効果で生じる電離マグネシウム線の円偏光スペクトルに着目し、彩層最上部の視線方向磁場強度の導出に取り組んだ。さらに、CLASP2の観測波長域内に入っていたマンガン線も、ゼーマン効果によって顕著な円偏光を示すことが明らかとなった。この新たな発見に刺激されて行われたTrujillo Bueno教授らのチーム(研究協力者)の輻射輸送計算により、マンガン線が彩層底部~中部から放射されることが示された。そこで、CLASP2と共同観測を実施したひので衛星による光球の磁場測定を組み合わせ、光球からコロナ直下の彩層上部までの連続した磁場情報の取得に成功した。これにより、太陽表面から彩層上部まで、磁束管が徐々に広がっていく様子が初めて観測的に明らかとなった。現在、これらの成果を査読論文にまとめているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ハンレ効果及びゼーマン効果を用いたベクトル磁場の導出には至らなかったが、新たなスペクトル線(マンガン線)の発見とそれによる太陽磁場の高さ構造が新しく得られたこと、そして、確実に査読論文への出版が見込めることから、当初の計画以上に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

本計画の最終目標は、散乱偏光で生じた直線偏光に作用するハンレ効果と、円偏光に作用するゼーマン効果を組み合わせることで、彩層上部のベクトル磁場を導出することである。CLASP2で得られた直線偏光データをクイックに解析したところ、観測された散乱偏光は複雑な様相を呈しており、太陽大気の3次元構造が大きく影響していると考えられる。まずは、散乱偏光がどのような3次元構造を反映したものになっているか、そして、円偏光から導出した視線方向磁場と直線偏光の関係がどうなっているかを詳細に調べることで、電離マグネシウム線におけるハンレ効果の検出を目指す。そして、磁場の定量評価へつなげる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Instituto de Astrofisica de Canarias(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      Instituto de Astrofisica de Canarias
  • [国際共同研究] NASA/MSFC(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      NASA/MSFC
  • [学会発表] The CLASP and CLASP2 missions2019

    • 著者名/発表者名
      Ryohko Ishikawa, Ryouhei Kano, Amy Winebarger, David McKenzie, Javier Trujillo Bueno, Frederic Auchere, Noriyuki Narukage, Takamasa Bando, Ken Kobayashi, Laurel Rachmeler, Donguk Song, Masaki Yoshida, Takenori J. Okamoto, and the CLASP and CLASP2 team
    • 学会等名
      Solar Polarization Workshop 9
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] First results of the Chromospheric LAyer Spectro-Polarimeter (CLASP2)2019

    • 著者名/発表者名
      Ryohko Ishikawa, David E. McKenzie, Javier Trujillo Bueno, Frederic Auchere, Ryouhei Kano, Donguk Song, Masaki Yoshida, Toshihiro Tsuzuki, Fumihiro Uraguchi, Takenori Okamoto, Laurel Rachmeler, Ken Kobayashi, CLASP2 Team
    • 学会等名
      Hinode-13/IPELS 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 紫外線偏光分光観測実験CLASPシリーズから得る将来計画への示唆2019

    • 著者名/発表者名
      石川遼子
    • 学会等名
      日本天文学会2019年秋季年会
  • [学会発表] Observational results for the plage target2019

    • 著者名/発表者名
      Ryohko Ishikawa
    • 学会等名
      CLASP2 Science Meeting
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi