過去の惑星磁場強度に関する情報は,惑星内部ダイナミクス状態を知る重要な指標であり,表層環境の進化を知る上でも必要不可欠である.しかし形成初期における火星の磁場強度に関する情報は,そのデータ量・質ともに不十分であり解明が急務となっていた.本研究では,斜長石中に含まれる離溶磁鉄鉱の磁気的性質を用いた新手法により問題解決を試みた.実験・計算から火星地殻中に含まれる離溶磁鉄鉱の含有量および離溶磁鉄鉱の残留磁化強度を求め,得られた実験データを用いて人工衛星によって観測された離溶磁鉄鉱の磁場記録を読み解く事で,形成初期における火星の磁場強度の推定値を得ることに成功した.
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