本研究は,太陽系外惑星の分布にみられる「1.5-2.0地球半径の惑星の欠乏(半径ギャップ)」や「周期3日以内の中間サイズ(2-8地球半径)の惑星の欠乏」などの統計的特性の原因を解明するため,従来あまり系外惑星探査が進んでいなかったM型矮星(特にM4型以降の中期-晩期M型矮星)に焦点を当て,系外惑星の発見と特徴づけを実施した。具体的には,(1)近赤外線スペクトルを対象とした視線速度測定法の改良,(2)低質量星まわりのトランジット惑星探査,の2つのテーマに取り組んだ。2022年以前の研究で研究(1)については概ね研究(従来の分光器・波長較正用光源に対するパイプラインの作成)が完了していたが,2023年度は自転速度が比較的大きい恒星の視線速度も正確に推定できるように,解析するスペクトル域(セグメント)の幅を調整するなど解析パイプラインの改良を行った。一方,研究(2)では,国内外の共同研究者と連携して,TESSミッション等で観測されたM型矮星のまわりで検出されていた惑星候補に対するフォローアップ観測を集中的に実施し,小型惑星を含む数個程度の惑星の発見確認を行った。
|