研究課題/領域番号 |
19K14787
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
末次 竜 産業医科大学, 医学部, 助教 (40737334)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 微惑星 / 衛星 |
研究実績の概要 |
天王星などの氷惑星の衛星は、木星のガリレオ衛星のように惑星周りにできたガス円盤内で集積したのではなく、過去に存在していた巨大リングから分離し誕生した可能性が高い。しかしながら、氷惑星も分厚い大気を保持することから、形成過程において氷惑星まわりにもガスがあったと考えられる。惑星周りのガス構造が円盤状か球状かの不定性はあるが、ガスと固体物質の相互作用は、惑星の成長、大気の組成進化、衛星への材料供給、不規則衛星の捕獲などへの寄与が先行研究から指摘されている。そこで今年度は氷惑星の大気による固体物質の捕獲過程についての研究に取り組んだ。惑星の大気は球対称構造で回転は考慮しないモデルを用いて軌道計算を行い、以下の結果を得た。(1) これまでの固体物質の捕獲の研究と同様に、稀に惑星周りを非常に長い間、公転する軌道が存在する。(2) 大気によって捕獲され長時間惑星の周りを公転する固体物質は、順行方向に捕獲された場合においても逆行方向に捕獲された場合においても軌道進化過程に違いがほとんど無い。これは、どちらの方向から捕獲されてもガスとの相対速度が非常に大きいことに起因する。この特徴は、ほぼケプラー速度で公転し順行と逆行で軌道進化が異なる木星などの周惑星円盤ガスによる捕獲とは大きく異なる。(3) 捕獲後の軌道進化過程では惑星に落下するまでの期間の大半は、離心率が非常に大きく、惑星のヒル半径の1/3程度の軌道長半径を維持して公転するが、最終的に急速な軌道減衰が起こり惑星に落下する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究に加え、天体衝突に関する研究についても結果が得られつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果は非常に簡単な大気モデルで得たものであるので、より現実的な場合で衛星の材料物質供給についての研究を引き続き進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった研究会が新型コロナウイルスの影響により中止となったため、使用額に変更が生じた。新型コロナウイルスが収束した場合、旅費として使用する予定であるが、そうでない場合は、追加の計算機購入への使用も考えている。
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