研究課題/領域番号 |
19K14793
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
村田 浩太郎 静岡県立大学, その他部局等, 特別研究員 (30740104)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 氷晶核 / 微生物 / 富士山 |
研究実績の概要 |
今年度は氷晶核および微生物観測の詳細な検証を行った。新型コロナウイルス感染症の関係で富士山頂での観測が中止となったことから、昨年度の山頂観測で明らかになった鉱物由来と考えられる凍結核の起源を検証することを目的にし、追加の実験に取り組んだ。関係省庁に許可を得た上で富士登山道において土石を採取し、その鉱物塵の凍結核としての能力を評価した。昨年製作したコールドプレート装置を用いて、サイズ選択した鉱物塵の水懸濁液の温度-凍結率の関係を計測した。さらに、試料懸濁液中の総粒子数を計測し、各凍結温度における粒子面積あたりの氷晶核数を算出した。結果を様々な鉱物塵による凍結核能力の文献値と比較したところ、富士山の鉱物は過去に計測された多くの鉱物よりも効率的に凍結核としてはたらくことが明らかとなった。今後山頂で生物起源の凍結核を計測する際、得られた鉱物塵のデータを参考値として用いることで、生物と非生物の凍結核がよりはっきりと区別可能になると考えられる。さらに、微生物観測の検証として、都市域での大気微生物解析を実施し、最終年度に予定されている山頂での氷晶核・微生物観測のための群集組成データと大気環境データとの対応関係の解析方法について検討した。いくつかの解析手法を候補として絞り込むことができ、上空における微生物組成データと氷晶核との対応関係について統計的に調査する準備を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症により予定されていた観測が中止になったものの、代替の観測や解析によって次年度に繋がる有用な結果を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
検証した観測手法および解析手法を適用し、昨年度実現できなかった富士山頂での観測を実施し、データを取得する。2019年の結果と合わせて、学会発表および論文投稿を行う。新型コロナウイルス感染症により再度観測が実現しなかった場合、代替案として富士山五合目での観測や、あるいは他の山岳での観測に切り替えて研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症によって予定されていた本来の観測が中止となり、機器や消耗品の必要量が少なくなったため。
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