2019年度は、雪氷からのマイクロ波放射を測定するための室内実験と野外実験を行った。 ①室内実験:各種温度帯での新旧の可搬型マイクロ波放射計MMRS2(以降MMRS2とする)を用いて6GHz、18GHz、36 GHzの各周波観測値のシフトを調整するために、電磁波吸収体を用いた比較実験を行った。②野外観測:積雪・凍土が存在する北海道東部の内陸寒冷地である陸別町の観測サイトにおいて、MMRS2が気温変化や融解・再凍結、その結果は形成される氷板などによりどう変化するか、また積雪下の地面が凍ている場合にはどのような放射特性を示すかを明らかにした。観測期間中にマイナス20℃以下に及ぶ低温、プラスの気温による融雪開始、また強い降雪時の観測もでき、多様な積雪状態における多くのMMRS2データが取得できた。さらに、人工的に氷板を作成し、氷板が積雪表面や内部にある時にMMRS2の値が低下することを確認できた。 2020年度は、陸別町の積雪観測サイトにおいて、冬季に積雪の断面観測とともに、積雪表面及び積雪層内部と地面との境界まで、温度センサーを設置して、連続的な温度観測を行いMMRS2による連続観測と比較を実施した。また、アラスカとスバールバル諸島の衛星マイクロ波放射計AMSR-EとAMSR2(分解能10 km)の2020年までのデータ解析を行った。 2021年度は、陸別町の積雪観測サイトにおいて、冬季にMMRS2による積雪や凍結地面の観測を実施した。観測期間中にマイナス20℃以下に及ぶ低温、プイラスの気温による融雪開始、また強い降雪も観測でき、多様な積雪状態におけるMMRS2のデータが取得できた。また、アラスカとスバールバル諸島のAMSR-EとAMSR2(分解能10 km)の2021年までのデータのダウンロードと解析を行った。
|