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2023 年度 実績報告書

成層圏を介した太陽活動変動の地球気候への影響過程における遅延メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K14798
研究機関九州大学

研究代表者

野口 峻佑  九州大学, 理学研究院, 助教 (90836313)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード太陽活動 / 成層圏-対流圏-海洋結合 / 北大西洋振動 / 北極振動 / 環状モード / 高エネルギー粒子降り込み / 地球システムモデル / 循環場拘束
研究実績の概要

太陽活動の11年周期変動に対する地表気候の応答が数年遅れて顕在化する過程の詳細を明らかにすることを目指し、いくつかの研究作業を行った。
まず、応答の顕著な北大西洋振動(NAO)について、気象研究所地球システムモデル(MRI-ESM)による、太陽活動度の変化のみが外力強制として取り入れられた長期間積分データを解析した。その結果、NAO指数のピークが太陽紫外線放射指数のピークに対して2-4年ほど遅れていることが実際に確認できた。
ついで、紫外線指数に対して近年数年遅れてピークを示す傾向にある、高エネルギー粒子の降り込み(EPP)の効果に関する実験を行った。晩秋に顕著なEPPが起こった際の上空での化学組成変化とそれに伴う成層圏-対流圏結合変動の変調を、MRI-ESMによるアンサンブル実験によって確認したところ、EPPの効果は、上述のNAO傾向と符号としては整合的ではあるが、地表まで達するには十分とは言い難い大きさの偏差形成にとどまることがわかった。
そこで、大気海洋相互作用の効果に着目し、成層圏周極渦の極端変動による海洋循環駆動とそれによってもたらされる越年影響の調査を行った。直近のイベントを対象に、成層圏循環場を拘束したアンサンブル実験をMRI-ESMを用いて実施し、成層圏のイベントの影響で対流圏・地表・海洋に生じる偏差を追跡した。その結果、(太陽紫外線放射指数のピーク時に発現しやすい)冬季の極渦強化イベントの下方影響により、地表では正の北極振動(AO)およびNAOが卓越し、特に北大西洋亜表層の水温が有意に低下することが確かめられた。形成された水温偏差は、混合層の季節変化に伴い再出現し、翌冬の大気状態にも有意な影響(正のAO/NAO状態への偏向)をもたらすことも確かめられた。ここで示された過程は、遅延応答の素過程であると同時に、季節を越えた予測可能性をもたらす過程として期待できる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 成層圏突然昇温に伴う熱帯対流圏循環場変化の季節予報データを用いた検証2024

    • 著者名/発表者名
      中村遥暉, 野口峻佑
    • 雑誌名

      令和5年度 異常気象と長期変動 研究集会報告

      巻: - ページ: 6 pp.

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Ocean Circulation Responses in a Stratospheric Nudging Experiment by an Earth System Model: A Case Study for the Abnormal 2019-2020 Season2023

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Noguchi, Kunihiko Kodera, Ryo Mizuta, Seiji Yukimoto
    • 学会等名
      A Joint Workshop of DynVar and SNAP
    • 国際学会
  • [学会発表] 成層圏突然昇温の太平洋海面水温変動に対する応答2023

    • 著者名/発表者名
      平信海成, 野口峻佑
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [学会発表] 成層圏周極渦の極端変動による海洋循環駆動とそれによりもたらされる越年影響2023

    • 著者名/発表者名
      野口峻佑, 小寺邦彦, 水田亮, 行本誠史
    • 学会等名
      日本気象学会2023年度秋季大会
  • [学会発表] 成層圏突然昇温に伴う熱帯域対流圏循環場変化の季節予報データを用いた検証2023

    • 著者名/発表者名
      中村遥暉, 野口峻佑
    • 学会等名
      日本気象学会2023年度秋季大会
  • [学会発表] 成層圏突然昇温の発生頻度の太平洋海面水温変動に対する応答とその将来変化2023

    • 著者名/発表者名
      平信海成, 野口峻佑
    • 学会等名
      日本気象学会2023年度秋季大会
  • [学会発表] 成層圏突然昇温に伴う熱帯域対流圏循環場変化の季節予報データを用いた検証2023

    • 著者名/発表者名
      中村遥暉, 野口峻佑
    • 学会等名
      異常気象研究会2023/第11回観測システム・予測可能性研究連絡会

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公開日: 2024-12-25  

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