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2021 年度 実施状況報告書

新生代ビトリナイトの反射率変化:新生代地質体の最高被熱温度推定

研究課題

研究課題/領域番号 19K14807
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

高橋 幸士  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80762252)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードビトリナイト反射率 / 抑圧ビトリナイト / 最高被熱温度 / 石炭 / 新生代 / 熱分解実験
研究実績の概要

石炭の主要な構成成分である『ビトリナイト』の光学反射率(ビトリナイト反射率:VRr)は反応速度論的に変化するが、炭化水素生成能力(Hydrogen Index:HI)や水素分の高い石炭及び有機質泥岩中のビトリナイトは、既存の反応速度式に基づく理論値に比べて、低いVRr値を示す(抑圧現象)。このようなビトリナイトは、『抑圧ビトリナイト』と呼ばれ、石炭の中でもHI値や水素分が高い傾向を示す新生代石炭の場合によく確認される。本研究は、石炭の熱分解実験に基づき、HI値や水素分がビトリナイト反射率(VRr)の変化に及ぼす影響を検討し、新生代地質体の最高被熱温度をより的確に推定することを目指している。今年度は、主に以下の研究を進めた。
(1) 大子地域試料の分析: 採取試料のVRr値測定を進め、得られた結果とHI値を踏まえて、熱分解実験に用いる出発物質候補の検討を行った。候補となる試料について、元素分析(CHNOS)、工業分析(発熱量等)に関するデータを取得したところ、新生代石炭ではあるものの、先新生代石炭に近い特徴を示す試料であると確認出来たため、本試料をHI値の高い試料との比較実験に用いることとした。
(2) 石炭の熱分解実験: 昨年度に引き続き、古第三紀石狩層群幾春別層から採取された石炭試料(HI=300程度)、及び(1)において検討した大子地域の石炭試料(HI=60程度)の等温・閉鎖系熱分解実験を行い、VRr値の変化を比較した。その結果、HI値及び水素分が相対的に低い大子地域の石炭試料は、VRr値の変化が大きい傾向を示した。以上の成果の一部について、国際誌上での公表1件、投稿1件を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

成果の一部は国際誌上で公表出来ているものの、当初の計画では、複数の試料を用いた熱分解実験をほぼ完了させる予定であった。しかしながら、老朽化による実験設備の更新が必要となり、その対応に時間を要した。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、計画に遅れが生じたため。

今後の研究の推進方策

熱分解実験に用いる試料は検討済みであるため、既に前処理を済ませている複数の試料について、熱分解実験を実施する。それらの実験結果を解析し、HI値や水素分がVRr値の反応速度論的な変化に及ぼす影響を評価する。

次年度使用額が生じた理由

熱分解実験に遅れが生じ、実験に要する消耗品や試薬類の購入機会が少なかったため。その分、次年度の実験に要する消耗品や試薬類の購入費用、成果公表に係る費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Effect of Maturation on the Dimethyl Naphthalene Indicator Used to Evaluate the Source Organic Type of Crude Oil2021

    • 著者名/発表者名
      Asahina Kenta、Takahashi Koji U.、Suzuki Yuichiro、Nakajima Takeshi、Kobayashi Miyuki
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 50 ページ: 1718~1721

    • DOI

      10.1246/cl.210342

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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