研究課題/領域番号 |
19K14815
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
門林 宏和 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, JSPS特別研究員 (10836414)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 天王星 / 海王星 / ダイヤモンド / メタン / 分子解離 / ダイヤモンドアンビルセル / 放射光X線回折 / ラマン分光 |
研究実績の概要 |
天王星や海王星の氷マントルは、主に水・メタン・アンモニアから構成されており、従来の実験的研究ではこれら氷マントル物質の高温高圧挙動を調べることにより、氷惑星の内部構造が推定されてきた。しかし、これまでの実験的研究は単一成分を扱うものであり、現実的な氷惑星のマントル条件を再現した多成分系での実験は行われていない。それゆえ現実的な氷マントル内部での水・メタン・アンモニアの挙動については解決すべき多くの謎が残されている。そこで本研究では、氷惑星マントル組成物質の高温高圧実験を行うことにより、この物質系の挙動を明らかにする。特に、メタンやアンモニアの融解や分子解離挙動に着目し、これに派生して生じるダイヤモンドや新規物質の生成とその条件を解明する。そして、得られた物質科学的知見を統合し、氷惑星の内部構造モデルの構築を行うことを目的としている。当初の計画では、本年度は高温高圧発生に用いる抵抗加熱ダイヤモンドアンビルセルの開発を行い、最高100 GPaまでのC-N-O-H系におけるメタンとアンモニアの高温高圧挙動の解明を予定していたが、本実験組成で起こりうる化学反応の全体像を把握するため計画を一部変更し、炭酸ガスレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高温高圧実験を抵抗加熱ダイヤモンドアンビルセルの開発に先んじて行った。その結果、C-N-O-H系でのダイヤモンドの生成条件がメタン単成分で報告されている条件よりも有意に低温側へシフトすることが示唆され、さらに氷惑星のマントル上部においてもダイヤモンドの生成が起こる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、2019年度は高温高圧発生に用いる抵抗加熱ダイヤモンドアンビルセルの開発を行い、最高100 GPaまでのC-N-O-H系におけるメタンとアンモニアの高温高圧挙動の解明を予定していたが、炭酸ガスレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高温高圧実験を装置開発に先んじて行った。その結果、本実験組成で起こりうる化学反応の全体像を把握することができ、今後の実験をより効率的に進めることができるようになった。これらの理由から、現在までの進捗状況をおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、高温高圧発生に用いる抵抗加熱ダイヤモンドアンビルセルの技術開発を行う。現在までに最高1200 Kまでの発生に成功していることから、さらにヒーターの形状や断熱材の厚み、加熱時の昇温速度を最適化することにより1200 K以上の高温発生を実現し、最高100 GPaまでのC-N-O-H系におけるメタンとアンモニアの高温高圧挙動を解明する。メタンとアンモニアの融解・解離条件は、その場ラマン分光(国立研究開発法人物質・材料研究機構)と放射光X 線回折(SPring-8, KEK-PF)の両評価法を用いて決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、2019年度に予定していた抵抗加熱ダイヤモンドアンビルセルの装置開発を行う時期を次年度に変更したことから装置開発に掛かる物品費や研究打ち合わせに必要となる旅費が当初の計画から変更となったためである。したがって、次年度ではこれらを装置開発に必要となる物品費及び打ち合わせのための旅費として使用する計画である。
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