| 研究課題/領域番号 |
19K14816
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| 研究機関 | 九州大学 |
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研究代表者 |
坪川 祐美子 九州大学, 理学研究院, 助教 (40824280)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 斜方輝石 / 動的再結晶 / プレートテクトニクス / その場観察 / 変形実験 / 高温高圧 |
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| 研究実績の概要 |
プレートの最主要鉱物であるカンラン石のみから仮定したプレート強度は500-600MPaと非常に大きく、地球においてプレートテクトニクスが起こるには、プレートが何らかの理由で「弱化」している必要がある。天然におけるマントル剪断集中帯では、斜方輝石の細粒粒子に変形が集中している観察例が報告されており、斜方輝石が動的再結晶作用により形成する“弱帯”が重要な鍵であると考えられる。本研究では、沈み込むプレート内条件下における斜方輝石の変形実験から、斜方輝石の動的再結晶によりプレート強度が低下し、プレートの沈み込みが説明可能かどうかについて検討を行う。
昨年度に行った斜方輝石単結晶の一軸圧縮変形実験では、動的再結晶により1-2ミクロンの細粒粒子が形成されることを見出したものの、変形の局所化といった現象は実験的に確認できなかった。そこで、本年度は大歪みの剪断変形場を設定し、動的再結晶に誘発される変形の局所化を直接観察することを目指した。実験にはD-DIA型変形装置を用い、試料の上下に先端を45°にカットしたピストンを配置することで剪断変形場を設定した。異なる温度条件及び歪速度条件にて、斜方輝石の圧力・応力・試料歪のその場観察変形を行った。
剪断変形実験の結果、斜方輝石の剪断歪は最大80%以上に至ったが、変形速度および変形量を変化させ行った全ての実験では、斜方輝石の顕著な局所変形は認められなかった。ただし、より速い歪速度（~1E-4/秒）で変形した試料では歪マーカーの不均質な変形が確認された他、低温条件下（~900℃）においても、試料の剪断歪が50%以上になるような場合には不均質な変形が進行することが分かった。また、実験後の回収試料の組織観察からは、~1ミクロンの細粒粒子の集合体が確認された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、昨年度に引き続き方位を合わせた単結晶試料を用いて一軸圧縮変形実験を行う予定であった。しかし、斜方輝石が動的再結晶作用により形成する“弱帯”に着目する上で、このような現象を実験的に再現しその場観察することがより重要であるとし、今年度は斜方輝石の多結晶体を実験試料として剪断変形実験に取り組んだ。しかしながら、この剪断変形実験では斜方輝石の不均質な変形と微細粒子の形成が認められたものの、再現しようとしていた天然試料のような顕著な局所変形は確認されなかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度は、これまでに引き続き、斜方輝石の動的再結晶及びそれに誘発され局所変形に至る条件を実験的に制約していき、プレート内のどのような条件下にて斜方輝石の動的再結晶が局所的に進行しやすいのか、またそれに誘発されて巨視的な剪断帯の形成に至るのかについて検討を行う。地球におけるプレートテクトニクスの起源とそのプロセスの詳細を明らかにすることを目指す。これらの結果について、国内外の学会で発表を行う他、これまでの一連の成果の取りまとめを行い国際論文へ投稿し発表を行う予定である。
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