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2020 年度 実施状況報告書

空振観測によるマグマ噴火と水蒸気噴火の分類手法の新提案

研究課題

研究課題/領域番号 19K14819
研究機関京都大学

研究代表者

山田 大志  京都大学, 防災研究所, 助教 (60804896)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード空気振動 / 火山噴火 / 地盤変動
研究実績の概要

当該年度は、桜島火山で発生する噴火(マグマ噴火)を対象に、火山灰放出に伴う空気振動と地盤変動量の関係を調べた。
桜島には3本の観測坑道が存在し、山頂火口からの火山灰放出に対応する地盤変動が高精度で捉えられている。空気振動記録が反映する物理過程に関する知見を得る目的で、地盤変動記録と空気振動記録の対応関係に着目した。
2017年11月から2020年6月までの期間に桜島南岳で発生した690回の噴火を対象に、空気振動積算振幅と、南岳山頂に最も近い有村観測行動における地盤変動量の関係を調べた。南岳山頂部にはA火口とB火口が存在し、両火口での噴火が発生していることから、音源の定量的評価のために複数観測点での空気振動初動到達時間から、各イベントの発生火口を推定した。次に、観測坑道における火口方向と火口直行方向のひずみ変化を用いて推定される火口下の球状圧力源体積収縮量と、空気振動積算振幅の関係を調べた。しかし、空気振動と地盤変動記録の間に明瞭な関係は見出せない。放出岩塊が火口から3.3 kmにまで到達した2020年6月4日2時59分のイベントなど、規模の大きなイベントでは空気振動も地盤変動も共に大きい。しかし、全てのイベントを概観すると両者の関係は必ずしも一定ではない。
火山灰放出量と明瞭な相関関係にある地盤変動量(収縮)は、火山体に貫入したマグマの放出を反映すると期待される。一方で空気振動には、火山灰放出だけでなく、火口底に蓄積されたガスの瞬間的な放出など、複数の励起過程が反映されていることが、上で述べた地盤変動と空気振動の関係の背景にあるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

桜島火山を対象にした火山灰放出(マグマ噴火)に伴う空気振動の観測と、観測記録の解析は順調に推移している。また、地盤変動、地震動という別の観測項目との関連付けも新たに進みつつある。しかし、空気振動と熱赤外観測との対応付けについては遅れている。水蒸気噴火については、新たな事例は当該年度はなかった。

今後の研究の推進方策

空気振動、地盤変動、地震動の三観測量による火山灰放出(マグマ噴火)の定量的評価を進める。同じ観点で、口永良部島で2020年に発生した水蒸気噴火がどのように評価されるか検証する。また熱映像観測については、観測記録の蓄積がある桜島での2017年までの昭和火口での噴火活動期に着目する。また野外での熱赤外連続観測を試行する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 空気振動観測による火山灰量推定の試み2021

    • 著者名/発表者名
      山田大志・井口正人・為栗健(京大防災研)
    • 学会等名
      令和2年度京都大学防災研究所研究発表講演会
  • [学会発表] 桜島火山での噴煙成長過程定量化の試み2020

    • 著者名/発表者名
      山田大志・井口正人(京大防災研)・藤田英輔(防災科研)
    • 学会等名
      JpGU-AGU Joint Meeting 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 空気振動観測による火山灰量推定の試み2020

    • 著者名/発表者名
      山田大志・井口正人・為栗健(京大防災研)
    • 学会等名
      桜島火山観測所60周年記念研究集会

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公開日: 2021-12-27  

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