研究課題
若手研究
申請者は低変成度堆積岩から高変成度堆積岩に適用できる炭質物の結晶性に基づく新しいタイプの地質温度圧力速度計の開発のために装置開発と高温高圧実験を実施した.装置開発では,低温領域で確立されている温度指標であるビトリナイト反射率測定と顕微ラマン分光装置による炭質物分析が同時に測定できるシステムを構築した.そして高圧高圧実験により高圧条件下での石墨化に必要な活性化体積を実験的に決定した.この2つの成果から低温領域まで温度計を外挿しより利便性の高い炭質物温度計の構築が可能となった.
固体地球科学
岩石被熱温度が現在より正確に測定できれば,変成岩地域の高精度な地質情報を社会に提供できるようになる.現在我々が作成している地質図は,建築物施工や防災計画の観点から広く利用されており,この研究の発展により一段の利活用が期待される.さらに我々の作成している地質温度計は,これまで研究が困難であるにも関わらず日本に広く分布する低変成岩石に焦点を当てている.そのため炭質物を利用した高精度な変成作用の解析から日本の新しい地質構造発達史の構築が可能となる.