研究実績の概要 |
本研究は,棚倉断層沿いに形成された新生代の棚倉堆積盆を対象とし,日本海拡大期の回転運動と断層運動,火山活動,沈降運動の相互関係解明を行うものである.具体的には,野外地質調査と古地磁気・岩石磁気測定,放射年代測定を行う.得られたデータから(1)棚倉堆積盆を埋積した地層の高精度な層序を構築する.その上で,(2)棚倉堆積盆における回転運動の時期と回転量などを解明する.また,本研究の成果とこれまでの研究代表者の成果を組み合わせ,(3)棚倉堆積盆における回転運動と棚倉断層の運動,火山活動,沈降運動の関係を検討する. 研究5年目は,前年度までに得られたデータに基づき,追加補足調査も実施しながら,総合的な観点から棚倉堆積盆の地質構造発達史を検討した.その結果,日本海拡大に伴った棚倉断層帯の断層運動によって,極めて短期間(100万年よりも短い期間)の間に,堆積盆の形成~急速沈降と堆積盆のブロック回転が生じたことが考えられた.この成果について論文化をすすめ,Tectonics誌(Q1, IF4.2)に掲載された.プレスリリースも実施した.
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