研究課題/領域番号 |
19K14832
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
後藤 孝介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30612171)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | モリブデン同位体 / 原生代前期 / ヒューロニアン累層群 |
研究実績の概要 |
本研究では,近年提唱された原生代前期におけるオーバーシュート仮説の検証を,この時代に堆積した浅海性堆積岩や古土壌を対象としたモリブデンの安定同位体に基づき行った。本研究で対象とする浅海性堆積岩は、一般に低いモリブデン濃度を示す。そこで今年度は、閉鎖型の蒸留濃縮装置(ANALAB社、IAS06-625RNP)を導入した。本装置の導入により、蒸発乾固時における周辺環境中からの汚染を少なくすることが可能となった。また、陽イオン樹脂を用いたMo分離のキャリブレーションを、産業技術総合研究所の所有する四重極型プラズマ質量分析装置 (Agilent 7500cx)を用いて行った。キャリブレーションの結果、従来の2/3以下の酸の量(< 10 mL)で、十分な量のモリブデンを回収できることを確認した。使用する酸を減らした上で、カナダ・ヒューロニアン累層群のエスパニョーラ層より採取された泥岩のMo同位体分析を行った。分析には、97Moと100Moが濃縮したダブルスパイクを使用し、測定には、産業技術総合研究所の所有するマルチコレクター型プラズマ質量分析装置 (Thermo Fisher Scientific Neptune)を使用した。エスパニョーラ層の泥岩は、0‰程度のモリブデン同位体比を示すことが確認された。この値は、上部地殻のモリブデン同位体比と概ね一致する。化学風化や堆積時、続成過程において、大きな同位体比分別が起こらなかった可能性を示唆する。今後、他の地域より採取された試料についても分析を進め、グローバルな傾向かどうかを調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2月から3月にかけて、外部機関でRe-Os分析を行う予定だったが、コロナ禍の影響で出張を中止にしたため。
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今後の研究の推進方策 |
実試料のMo同位体分析を数多く行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月から3月にかけて、旅費で使用予定だったが、コロナ禍の影響で出張を中止したため。
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