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2020 年度 実施状況報告書

酸素オーバーシュート仮説の検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K14832
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

後藤 孝介  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30612171)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードモリブデン同位体 / 原生代前期 / 大酸化イベント / 酸素オーバーシュート
研究実績の概要

本年度は、原生代後期における陸上の化学風化の化学的特性を理解するために、フィンランドのカレリア累層群に見られるホカランピ古土壌コア試料の化学分析に着手し、特に、最適な分解方法について検討した。低モリブデン濃度の試料を対象にモリブデン同位体分析を行うために、多くの試料を分解する必要があるが、そのために分解方法を改良する必要があることが分かった。また、多くの試料を分解した場合、マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置を用いたモリブデン同位体測定時の妨害元素となる鉄が、一度の陽イオンカラム交換では十分に分離できず、陽イオン交換を二回繰り返す必要があることが明らかとなった。陸上試料と並行し、過去の海底堆積物であるガーナのヌスタ鉱床の研究も進め、モリブデンやレニウム-オスミウム同位体分析に基づき、原生代前期における海水モリブデン同位体比が高くなっていた可能性を示した(Goto et al., 2021 Chemical Geology)。得られた知見は、南アフリカ・タイムボールヒル層の縞状鉄鉱層やガボン・フランスヴィリアン盆地のマンガン堆積物より報告されているモリブデン同位体比の結果とも調和的である。原生代前期には、マンガン酸化物の堆積に伴うモリブデンの除去プロセスが卓越するような酸化的な環境が、グローバルに広がっていた可能性を示唆する。海底堆積物から得られた知見は、大気酸素オーバーシュート仮説を支持する結果であり、今後、陸上の化学風化の化学的特性を理解することで、本仮説をより詳細に検証することが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍の影響で在宅勤務の割合が増えており、実験を行う日数が限られているため。

今後の研究の推進方策

試料の分解方法を改良し、より効率的な分析方法を確立する。

次年度使用額が生じた理由

在宅勤務などに伴い、実験を行える機会や外部機関へ出張(実験)をしに行く機会が少なくなったため、次年度使用額が生じた。実験を行う機会を増やし、研究を加速させる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Progressive ocean oxygenation at ~2.2 Ga inferred from geochemistry and molybdenum isotopes of the Nsuta Mn deposit, Ghana2021

    • 著者名/発表者名
      Kosuke T. Goto, Yasuhito Sekine, Takashi Ito, Katsuhiko Suzuki, Ariel D. Anbar, Gwyneth W. Gordon, Yumiko Harigane, Teruyuki Maruoka, Gen Shimoda, Teruhiko Kashiwabara, Yutaro Takaya, Tatsuo Nozaki, James R. Hein, George M. Tetteh, Frank K. Nyame, Shoichi Kiyokawa
    • 雑誌名

      Chemical Geology

      巻: 567 ページ: 120116

    • DOI

      10.1016/j.chemgeo.2021.120116

    • 査読あり / 国際共著

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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