CNTの紡績糸製造技術が開発されて以降,炭素繊維に代わる高強度繊維材料としての適用が期待されているものの,実際に合成した紡績糸の強度は炭素繊維に及んでいない.本研究ではエチレンガスを熱分解した際に発生する熱分解炭素をCNT表面に吸着させることで合成時に内在する欠陥を修復することで強度特性の改善を行った.紡績糸の強度特性改善のためには,CNT同士の結合も必要ではあるものの,CNT単体の構造制御と強度特性改善が重要な要素である.今後,本技術を紡績糸に対して行うことで,熱分解炭素によるCNT間の界面特性の向上も期待され,高強度紡績糸の開発に有益なものになると考えている.
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