研究課題/領域番号 |
19K14845
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村松 眞由 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20609036)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 固体酸化物燃料電池 / 強弾性 / Phase-field |
研究実績の概要 |
固体酸化物燃料電池(SOFC)の空気極となるランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)の微視組織の発展を考慮し,SOFCにおける強弾性現象を表現可能な数理モデルを開発するために,令和1年度は,分子動力学解析を採用して解析手法・モデルを構築するとともに数値解析を実施した. ペロブスカイト構造LSCFの変形過程では,帯状組織発達の際に立方晶から菱面体晶への変化に伴う激しい原子の拡散と反応が起こる.直径約1 μmの粒の強弾性相の配向調査から,2,3 sの時間スケールで生じる組織の発達が応力の非線形性に影響すること,分子動力学解析から,一軸変形中の原子配列の変化によって特異な応力変化が生じることが知られており,原子の挙動と帯状組織の発達それぞれが強弾性における応力の非線形性を誘起していると考えられる.しかしながら,これまで強弾性を対象に開発された構成モデルは存在しない. 本研究では,弾性エネルギーを考慮したエネルギー汎関数からフェーズフィールドモデルを導出した.本プログラムを用いて,強弾性モデルに基づき単結晶の強弾性解析を行った.解析には有限要素解析と文献より得られた物性値を用いた.得られた解析結果と強弾性試験結果とを比較して,ラメラ構造やヘリンボーン構造など観察される構造が数値解析的にも得られることがわかり,数値解析の妥当性を確かめた.さらに,分子動力学シミュレーションを実施し,フェーズフィールドモデルに適応するための準備を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では令和1年度は強弾性のみの解析の予定であったが,損傷の解析に展開することができた.
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今後の研究の推進方策 |
令和1年度に性能を確かめたフェーズフィールドモデルを,さらに多結晶材を用いて検証を進める.さらに,均質化法を導入し,マクロな力学特性の評価を行う.プログラムにはマクロな力学特性と組織発展とが互いに連成するアルゴリズムを実装するが,計算コストが大きい場合には,組織データを保存し変形解析を行う予定である.得られたプログラムを用いて大規模解析を実施する.また,組織形成後には外部応力を与えることによって強弾性組織を有する材料の力学挙動を明らかにする.さらに,損傷の解析を実施することで,実際のデバイス性能評価へ展開する指針としたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
分子動力学シミュレーションの解析結果から得られたパラメータを損傷のフェーズフィールドモデルに適応することを試みており,現状では計算リソースが少なくても解析が実施できた. 当初と同様の計画で実施していくが,いくつかの学会が取り止めとなり,出張旅費の支出が減りそうである.その分の費用は当初の予定より性能の良い計算マシン購入に充てる予定である.
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