研究課題/領域番号 |
19K14846
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 潔洋 東京理科大学, 工学部機械工学科, 助教 (10778210)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ひずみ速度依存性 / 球体高速衝突試験 / 圧痕 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,ひずみ速度と温度依存性が考慮された構成式中の材料定数について,球体衝突試験によって簡易的に評価する手法を確立することを目的としている.前年度においては,最大900℃で球体高速衝突試験を実施可能な試験機を開発した.また,球体の衝突前後のエネルギー保存式に基づいて,球体の高速衝突により金属平板表面に生じる圧痕寸法の予測式を構築した.当予測式による圧痕寸法と有限要素解析による圧痕寸法が精度よく一致することを確認した.本予測式には材料のひずみ速度と温度依存性を考慮した構成式が組み込まれており,適切な材料定数を用いることで圧痕寸法の予測が可能となる.逆に,球体高速衝突試験により圧痕寸法が既知の場合,圧痕寸法とひずみ速度依存性以外の材料定数を用いることにより,ひずみ速度依存性に関する材料定数を推定することが可能となる.同様に,圧痕寸法と温度依存性以外の材料定数を用いることにより,温度依存性に関する材料定数を推定することが可能となる. 純銅,ステンレス鋼,低炭素鋼に対し,開発した試験機を用いて室温下で球体高速衝突試験を実施し圧痕寸法を測定した.また,準静的引張試験によりひずみ速度依存性以外の材料定数を評価した.これらの圧痕寸法ならびに材料定数を本予測式に導入し,ひずみ速度依存性に関する材料定数を推定した.その結果,高速引張試験により得られた材料定数とよく一致することを確認した.本手法は,球体高速衝突試験により得られる圧痕寸法を測定するだけでひずみ速度依存性に関する材料定数が得られる.従来のスプリット・ホプキンソン棒法のように特殊な技術を要求されることなく容易に評価することができるため,幅広い産業分野への適用が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,高温下で球体高速衝突試験を実施可能な試験機を開発した.ただし,予算の都合上ヒーターの容量が小さくなり,目標最大温度が1000℃あったのに対して達成された最大温度は900℃に留まった.最大温度900℃でも今後の計画に支障は無い.また,圧痕寸法の予測式の構築ならびに本予測式に基づくひずみ速度依存性に関する材料定数の推定を行い,精度よく推定可能であることを確認できている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,球体高速衝突試験により材料のひずみ速度依存性および温度依存性に関する材料定数を推定可能とすることを目的としている.前年度において,ひずみ速度依存性に関してはその目標を達成している.本年度においては,構築した予測式により温度依存性に関する材料定数の推定が可能であることを実証する.純銅,ステンレス鋼,低炭素鋼に対し,高温下で球体高速衝突試験を行い,得られる圧痕寸法から温度依存性に関する材料定数を推定する.また,同一材料に対して高温下で準静的引張試験を行い,温度依存性に関する材料定数を評価する.両者を比較することで,本手法の有効性を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
端数が余っているのみであり,概ね当初計画通りに進めている.
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