高分解能を有する共焦点顕微鏡は,表面微小形状の非接触測定に広く利用されている.しかし,測定値に不自然な短波長ノイズや突発的な異常値が混入するため,測定精度が著しく低下する.異常値の原因は,照射したスポット内の試料表面微小凹凸により生じる光干渉(スペックル)である.本研究課題においては,スペックルによって生じる異常値の抑制を目的としている.これらの点を踏まえ,位相板を用いスペックルパターンを変化させることで,焦点位置において最大の受光強度を検出させ異常値を抑制する手法を提案した.ガラス円盤にウェットブラスト加工を施したものを位相変調板として使用し,様々な被測定物においてスペックル抑制効果について検討した. まず,比較的ランダムな微細凹凸を得られる放電加工面と加工痕に周期性をもつ研削加工面について比較検討を行った結果,どちらの場合においても回転式位相板を使用することで,突発的なピークの発生を減少させる効果があることを確認した.なおスペックルノイズの抑制効果は,研削面より放電加工面の方が高い結果となった. 次に被測定面の表面粗さの違いが及ぼす影響について検討した.放電加工面の場合,表面粗さが小さい方がスペックルノイズの抑制効果が高いが,研削加工面では表面粗さの大きい方がスペックルノイズの抑制効果が高い結果となった.以上より表面粗さの違いがスペックルノイズ抑制効果に与える影響は少ないことがわかった. 放電加工面には加工方法の特性上,筋状の加工痕が残っている.本研究では,加工痕に対する測定方向の違いが及ぼす影響についても検討した.加工痕に対して垂直に測定する場合よりも加工痕に沿って測定する方が突発的なピークの発生を抑制できることを明らかにした.以上より,様々な加工面において,回転式位相板を用いて測定することで突発的な異常値を抑制することを明らかにした.
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