薄板の異種金属を接合する有効な方法の一つとして超音波接合法が挙げられる。この接合法は,リチウムイオン電池,ICチップ,ワイヤーハーネス等の製造で利用されている技術である。この接合法は,静圧力と超音波振動のみで接合する方法であり,熱を用いない方法であるため融点の異なる異種金属の接合が容易に行える方法である。本研究では,従来の縦振動のみと比較した場合に振動エネルギーが大きくなる縦振動とねじり振動を組み合わせた面状軌跡の振動を用いた超音波接合法を提案し,提案方法の接合機構の解明を目的としている。期間全体の成果は下記の通りである。 1. アルミ板と銅板の接合特性について A1050板とC1100板の接合について,引張せん断強度と十字引張強度,及び,表面性状を変化させた場合の検討を行った。引張せん断強度と十字引張強度について検討を行った結果,面状軌跡の振動を用いた場合は,引張せん断強度と十字引張強度の両者が安定して得られることがわかった。一方,線状軌跡の振動においては,600 N程度の引張りせん断強度が得られたとしても,十字引張強度は100 N程度となった。次に,表面性状を変化させた場合の検討を行った結果,直線軌跡を用いた接合における引張せん断強度の平均値(サンプル数5)は,表面粗さが大きくなるほど低くなった。しかし,面状軌跡を用いた場合は,表面粗さに関わらずほぼ一定の値が得られた。 2. 縦-ねじり振動源の開発 長さ100 mmの接合チップを装着した振動源を開発した。振動源は中空部を用いたステップホーンを用いることで,両振動の拡大比を制御できる構造とした。また,長さ100 mmの接合チップは,矩形断面をしており,無負荷にて面状軌跡が得られることを明らかにした。
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