研究課題/領域番号 |
19K14865
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
木津 良祐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (40760294)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 粗さ計測 / ラインエッジラフネス(LER) / AFM / 半導体ナノ構造 |
研究実績の概要 |
本研究では、半導体デバイス製造における計測標準に資する半導体ナノ構造の超精密形状計測技術の開発を行っている。ナノ形状計測では様々な顕微鏡技術が用いられるが、一般的な顕微鏡技術はその技術だけでは絶対寸法計測ができないものが多く、それらの計測精度の保証には絶対精度の計測値が値付けされた標準試料が必要となる。本研究では、半導体デバイス開発におけるデバイス性能評価やリソグラフィー加工性能評価、生産歩留まり管理などに欠かせない、ラインエッジラフネス(LER)計測に着目し、計測技術の高度化と、高精度に形状が特徴づけられたLER標準試料の開発を行う。 2019年度は、長さ標準にトレーサブルな形状計測が可能な測長型原子間力顕微鏡(測長AFM)によるLER計測技術を開発した。従来の一般的なLER計測技術である走査電子顕微鏡(SEM)と測長AFMの測定性能を比較するために、同一の半導体ラインパターンの同一位置の垂直側壁のLER計測をそれぞれの計測技術で行い、結果を比較した。その結果、SEMでは上面観察による二次元像が得られ、かつ、ノイズが大きく側壁プロファイル計測の観点では数十nm程度の空間分解能であったのに対し、測長AFMでは垂直な側壁を三次元的に計測でき、かつ、ノイズが小さく少なくとも数nm程度の空間分解能で側壁プロファイル計測が可能なことが分かった。また、Power Spectral Density (PSD)、Height-Height Correlation Function (HHCF)、自己相関関数などを用いた粗さ解析を行い、測長AFMの結果をリファレンスとして扱うことで、SEMによるLER計測における空間分解能や粗さ値の誤差の評価が可能なことが示された。上記のLER計測評価技術の知見をもとに、LER標準試料として有用な点を検討しながら設計に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、LER計測評価手法の高度化を行い、LER標準試料の設計に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続きLER計測評価手法の高度化を行い、また、LER標準試料の作製に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、LER計測評価手法の高度化のための研究を進め、LER標準試料として必要な点を検討していた結果、試料の作製には至らなかったため。次年度では、標準試料作製費へ充てる。
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