研究課題
本研究では、半導体デバイス製造における計測標準に資する半導体ナノ構造の超精密形状計測技術の開発を行っている。ナノ形状計測では様々な顕微鏡技術が用いられるが、一般的な顕微鏡技術はその技術だけでは絶対寸法計測ができないものが多く、それらの計測精度の保証には絶対精度の計測値が値付けされた標準試料が必要となる。本研究では、半導体デバイス開発におけるデバイス性能評価やリソグラフィ加工性能評価、生産歩留まり管理などに欠かせない、ラインエッジラフネス(LER)計測に着目し、計測技術の高度化と、高精度に形状が特徴づけられたLER標準試料の開発を行う。2020年度は、LER標準試料の設計と電子線リソグラフィ技術による試料作製(外部委託)を行った。標準試料には、様々な波長成分をもつ構造や粗さパラメータ(RMS、相関長、粗さ指数)が制御されたラインエッジプロファイルを有するラインパターンが作り込まれている。LER計測技術の高度化も行った。従来の一般的なLER計測技術である走査電子顕微鏡(SEM)を用いた場合の誤差要因となっていたノイズ誤差を高精度に補正する手法を開発した。同一ラインパターンの繰り返し測定、Height-Height Correlation Function (HHCF)という粗さ解析手法、および、ノイズ込HHCFのモデル式を用いたノイズ量推定手法、の組み合わせによって、ノイズ補正がされた粗さパラメータ(RMS、相関長、粗さ指数)が高精度に解析可能となった。また、その実験結果は、長さ標準にトレーサブルな形状計測が可能な測長型原子間力顕微鏡(測長AFM)によるLER計測技術との直接的な比較計測によって検証された。
2: おおむね順調に進展している
2020年度は、予定通りLER計測標準試料の開発とLER計測評価手法の高度化を行った。
2021年度は、測長AFMによってLER標準試料内のラインパターンの粗さを校正し、それを用いて一般的なLER計測手法である走査電子顕微鏡(SEM)の測定性能を評価する技術を開発する予定である。また、引き続きLER計測評価手法の高度化を行う。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Proc. SPIE
巻: 11611 ページ: 1161117
10.1117/12.2583475
Journal of Micro/Nanolithography, MEMS, and MOEMS
巻: 19 ページ: 044001
10.1117/1.JMM.19.4.044001