研究実績の概要 |
本研究では、これまで困難だった内部き裂の停留を直接観察し、介在物などの欠陥と使用条件の新たな設計指針となる、転がり疲労下のき裂進展下限界の測定法を確立することを目的として研究を行っている。 本年においては、まず研究代表者らが開発した炉―高周波併用加熱法により、シャフト形の試験片に対して二重の材料硬化層を作成した。また、試験片作成時に様々な工夫を凝らすことで、表面から軟化部の深さをコントロールした試験片を作成することに成功した。この、新たに開発したシャフト型試験片に対して、研究代表者らが所属する研究室が特許を持つ、一点型転がり疲労試験機を用いて転がり疲労試験を行った。この試験機は、ボール・シャフトが一点のみで接触しながら回転することにより、転走軌道が確実に一致するように工夫されたものである。この試験機を使うことで、転走痕がシャフト長手方向に対して垂直に形成されるため、シャフトの切断と研磨の組み合わせにより、転がり疲労試験における、最も大きなせん断応力の影響を受けた、すべての非金属介在物を観察することが可能である。本年ではこの試験機を使うことで、シャフト内部に発生する転がり疲労き裂の接触面からの深さをコントロールしつつ、非金属介在物から発生した疲労き裂の全数観察を行うことができた。特に、破壊条件を探るために、接触応力が5.60GPa,6.16GPa, 6.70GPa, 7.28GPaの複数の条件下で10^7回に達するまで転がり疲労試験を行った。
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