研究課題/領域番号 |
19K14897
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
上澤 伸一郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (80737073)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ボイド率 / 定電流法 / ワイヤメッシュセンサ |
研究実績の概要 |
本研究では、定電流法、WMS(ワイヤメッシュセンサ)に対する気液二相流解析と電流密度解析の連成解析手法を確立することにより、計測電極間の不明確な電流密度に起因する計測の不確かさを明らかにして各計測技術の適用条件を明確にするとともに、気液二相流の気液構造の三次元計測技術の確率を目的としている。令和2年度の具体的な研究実績は以下の通りである。 ①連成解析手法の妥当性検証:上記連成解析手法の妥当性検証のため、実験データとの比較を実施した。本検証では、実験と同条件の気泡流の3次元構造の数値データを、研究代表者が所属する日本原子力研究開発機構が独自に開発した二相流詳細解析コードで取得し、その流動場を有限要素法を用いた3次元電流密度分布解析の計算対象として用いることにより、実験で得られた計測データと計算機上で取得してデータの比較を実施した。その結果、低ボイド率から高ボイド率に対して、本予測手法が概ね妥当であることを確認した。 ②電流密度分布解析結果に基づいた計測誤差の検討:定電流法やWMSに対して、電流密度分布解析結果に基づいた計測誤差の検討を行った。その結果、流れ方向に対する気泡前端と後端において、電流密度が小さくなる領域が存在し、ボイド率の過大評価になることを明らかにした。より正確な計測を行うために、実験と数値解析結果を参考に補正を実施したところ、従来気泡の3次元構造の計測が困難であった定電流法でもスラグ気泡に対して3次元構造の再構築が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究開発が進んでいることから、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
気液二相流の気液構造のインラインかつリアルタイム三次元計測:最終年度の3年目は、これまで得られた解析技術や知見を用いて、従来為し得なかった気液二相流の気液構造のインラインかつリアルタイム三次元計測技術を確立させる。具体的には、流体解析を用いて、様々な流動条件に対する気泡流の3次元構造データを取得するとともに、3次元電流密度分布解析を用いて気液二相流構造に対する計測信号データを収集し、気液二相流構造に対する計測信号のデータベースを構築する。そのデータベースを用いて、各気液二相流構造に対する電気信号の特徴を把握し、実験で得られた未知の気液二相流構造に対する計測信号から、気液二相流構造をインラインかつリアルタイムで再構築できる技術を確立させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、当初予定していた計算機の購入について、従来所有していた計算機で今年度の研究を進めることが確認できたためである。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画として、当初予定していた計算機の購入について、より性能の高い計算機を購入する予定である。
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