本研究では、定電流法やWMS(ワイヤメッシュセンサ)に対する気液二相流解析と電流密度解析の連成解析手法を確立することにより、計測電極間の不明確な電流密度に起因する計測の不確かさを明らかにするとともに、気液二相流の気液構造の三次元計測技術の確立を目的とした。 電流密度の計算対象となる流動場の計算機内での再現が必要であることから、研究代表者が所属する日本原子力研究開発機構が独自に開発した二相流詳細解析コードTPFIT(Two-Phase Flow simulation code with Interface Tracking)を用いて、定電流法とWMSの計測電極周りの気液二相流挙動を再現した。さらに、TPFITで取得した気液二相流の流動場に対する電場密度分布の計算を、電流密度分布計算には有限要素法を用いた3次元電流密度分布解析ソフトEMSolution(サイエンスソリューションズ社製)を用いて実施した。流動場解析より得られた気液二相流に応じた電極周りの電流密度分布計算を実施することにより、定電流法とWMSで得られる電気信号を再現した。 上記連成解析手法の妥当性検証のため、実験データとの比較を実施した。その結果、低ボイド率から高ボイド率に対して、本予測手法が妥当であることを確認した。また、定電流法やWMSに対して、電流密度分布解析結果に基づいた計測誤差の検討を行ったところ、流れ方向に対する気泡前端と後端において、電流密度が小さくなる領域が存在し、ボイド率の過大評価になることを明らかにした。 これまで得られた、実験や数値解析結果を参考に補正を実施したところ、従来気泡の3次元構造の計測が困難であった定電流法でもスラグ気泡に対して3次元構造の再構築が可能であることを確認した。また、原子炉の燃料集合体のような複雑な流路においても気液分布の計測が可能であることを明らかにした。
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