従来の燃え拡がり研究は,アクリル樹脂などの等方材料を対象してきた.そのため,これまでに提案された燃え拡がりモデルもそのような材料を想定したモデルとなっている.一方,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は炭素繊維配合方向によって異方性を持つことが知られており,従来の燃え拡がりモデルではカバーすることのできない材料である.そこで本研究は,炭素繊維配合方向の異なるCFRPを製作し,それらの燃え拡がり挙動を調査すると共に,異方性の影響のモデル化に挑戦した.そして,炭素繊維を介した固相の熱輸送を考慮した新たな燃え拡がりモデルを構築し,それをもとに算出した燃え拡がり速度は実験値と良い一致を示した.
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