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2019 年度 実施状況報告書

遠心分離システムによりUV照射と超音波振動を併用したマイクロゲルビーズの生成

研究課題

研究課題/領域番号 19K14920
研究機関東京工業大学

研究代表者

倉科 佑太  東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40801535)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードハイドロゲル / グルコース応答性ゲル / コアシェル / 超音波 / 温度応答性ゲル / 微細加工
研究実績の概要

マイクロゲルビーズの生成はDDSをはじめとした種々の分野において期待されている.特に,水溶液中で高速にマイクロゲルビーズを生成できる遠心分離法は高速で微量のサンプルを生成できることや生成後の洗浄が不要なことから注目を集めている.しかし,分子量の低いモノマの重合によるマイクロゲルビーズの生成が困難であることやビーズ径を微小化することが困難であることからDDSへの応用が難しい.このため,本研究では,遠心分離に電源供給装置を設置し,遠心分離中のUV照射や射出中のガラス管の超音波振動による固有振動モードを用いることでグルコース量に応答する微小な刺激応答性マイクロゲルビーズの生成を行う.
本年では,グルコースに応答できるハイドロゲルビーズの生成に着手し,UV照射による光重合と遠心分離によるイオン架橋を同時に行うことで,グルコース応答性ハイドロゲルビーズを製作した.加えて,血糖値測定のためのグルコース応答性ゲルと薬剤放出のための温度応答性ゲルを両方具備したアルギン酸のシェルを具備したヤヌス型のハイドロゲルビーズの生成に成功した.また,このようにコアシェル型のハイドロゲルビーズが生成できる要因について,各条件を精査することで,その生成メカニズムについても今年度の研究を通じて明らかとした.
今後は,超音波振動により極小ハイドロゲルビーズを製作できるように,ガラス管を振動させられるように圧電素子を用いて治具を製作する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

マイクロゲルビーズは,DDSをはじめとした体内で活躍するインテリジェントデバイスとして注目を集めている.従来の方法では,アルギン酸ナトリウムを塩化カルシウムの溶液中に投射してマイクロゲルビーズを形成するが,遠心分離後にUV照射して光重合させると,分子量の小さいモノマは硬化前にアルギン酸カルシウムの網目から抜け出してゲル化できず,遠心分離によるマイクロビーズの形成では,小さなビーズを生成することは困難であった.このため,本研究ではDDSへの応用を見据えた遠心分離による生成法を用いて機能性を有した微小マイクロゲルビーズを生成する.
上記の目的を踏まえて本年では,グルコースに応答できるハイドロゲルビーズの生成に着手した.その際,遠心分離中にUV照射を施すことでアルギン酸のイオン架橋とアクリルアミドやイソプロピルアクリルアミドの光重合を組み合わせることで,アルギン酸のシェル,刺激応答性ゲルのコアを有したハイドロゲルマイクロビーズを生成した.コアを製作する際には,θ状に内部が分割されているガラス管を用いてとグルコース応答蛍光分子を含有したアクリルアミドを主材としたグルコース応答性ポリマとイソプロピルアクリルアミドを主材とした温度応答性ポリマを区分けすることで,血糖値測定のためのグルコース応答性ゲルと薬剤放出のための温度応答性ゲルを両方具備したアルギン酸のシェルを具備したヤヌス型のハイドロゲルビーズの生成に成功した.Ex vivo試験として鶏肉に本ビーズを含有し,血糖値測定と薬剤徐放が可能であることを確かめた.このように,本年度の目的であるグルコース応答性のハイドロゲルを生成し,それに加えて薬剤徐放の仕組みもデバイスに組み込むことに成功した.

今後の研究の推進方策

今後の研究では,本年度で達成したグルコース応答性ハイドロゲルビーズの生成に加えて,圧電素子を用いてガラス管に微細な振動を加えることで,極小のハイドロゲルビーズを生成する.その際,遠心力により,重力の負荷が生じていることから,強力な加工用のランジュバン型振動子を設計目標として,その製作に取りかかる予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] One-step fabrication of multi-functional core-shell Janus hydrogel microparticles for theranostics application2020

    • 著者名/発表者名
      Mio Tsuchiya, Yuta Kurashina, Yun Jung Heo, Hiroaki Onoe
    • 学会等名
      The 33rd IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems
    • 国際学会
  • [学会発表] Phase-separated core-shell hydrogel microbeads from homogeneous mixed polymer solution by simultaneous gelation2019

    • 著者名/発表者名
      Yuta Kurashina, Mio Tsuchiya, Keitaro Kasahara, and Hiroaki Onoe
    • 学会等名
      The 23rd International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences
    • 国際学会
  • [学会発表] UV照射搭載型遠心分離機によるコアシェル構造ハイドロゲルマイクロビーズの生成2019

    • 著者名/発表者名
      倉科佑太, 土谷澪, 笠原啓太朗, 尾上弘晃
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会第39回研究会
  • [学会発表] 自己生成型コアシェルビーズを用いたドラッグリリース2019

    • 著者名/発表者名
      倉科佑太, 土谷澪, 笠原啓太朗, 尾上弘晃
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会第40回研究会
  • [備考] 倉科佑太の研究紹介

    • URL

      http://www.kitamoto.iem.titech.ac.jp/members/kurashina.html

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公開日: 2022-12-28  

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