前年度に製作した実験用の小型跳躍メカニズムと,それを搭載した小型跳躍ロボットを用いて,軟弱土壌を模擬するため砂を敷き詰めた実験設備での跳躍実験を実施した.また,新たに装置に6軸力覚センサを取り付け,跳躍の瞬間のロボット脚と軟弱地盤との間で生じる力の時刻歴を取得した.特に,締固め具合を最大密度から最小密度で変化させた模擬地面を作り実験を行ったことで,土質の状態に対するロボット跳躍データ応答の変化に関する関係を取得することができた.また,跳躍ロボットの脚の構造を変化させ,軟弱地盤でも急激な地盤への押し込みを回避して,急激な地面への貫入を防ぎ連続的なデータを取得させる方法も開発した.具体的には,跳躍ロボットの跳躍用ばねと脚の間にリンク機構を組み込み,跳躍開始の瞬間をリンク死点に近づけることで,ばね力の地盤への伝達を調整できるようにした.これで地盤側が最小密度状態(弱い地盤)時の試験でも,跳躍ばねの力で地盤の砂の過剰な飛散を抑制し,安定して測定データを取得できるようになった.また,このリンク機構による力伝達の調整により,様々な地盤上でロボットの跳躍効率もが向上することも実証できた.種々の模擬地盤上での跳躍データを得られたため,これと未知地盤上での跳躍データとの比較が可能になり,跳躍ロボットによる,跳躍移動中の土質推定が達成できたといえる.一方で,土質の水分状態や土壌に混合した石や礫などによっては,事前データとの比較が困難になるため,跳躍反力の比較だけでなく,周波数応答などを比較するなどして対象の地盤の状態を推定する必要があることも見いだされた.比較方法の優劣に関しては議論の余地を残すため,引き続きの議論を要する.実験装置は完成して様々な地盤条件でデータ取得実施が可能なので,今後データを拡充して比較方法に改良を加えていくことで,跳躍ロボットによる土質の推定性能を洗練させていく.
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