研究課題/領域番号 |
19K14937
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅野 悠紀 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (40783080)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 循環 / 新陳代謝 / ヒューマノイド / 拍動ポンプ / 柔軟物体成形 / 適応 / 身体変化 |
研究実績の概要 |
本研究では,自身の運動や環境変化に応じて身体を適応させていく適応型ヒューマノイドの構成法を明らかにすることを目的としており,今年度はハードウェア開発とソフトウェア実装の両面から研究開発を進めた. ハードウェアにおける適応の仕組みとして,生体の循環と新陳代謝の仕組みに着目しており,これらをヒューマノイドへと取り入れるための体内循環系に関する要素技術開発を進めた.具体的には,液型柔軟外装,滑液循環骨格,循環液ポンプ,といった従来のヒューマノイド身体構成要素に循環機能を付与することを研究課題としている.本年度は,体内循環系のハードウェア試作として,主に拍動型ポンプの設計制作に取り組んだ.ポンプの三次元形状をモデリングし,ゴム成形3Dプリンタを活用することで変形可能な柔軟物体として造形した.また,配管用部品や流量センサを調達し,拍動型ポンプを評価検証していくための実験環境を整えたので,次年度以降にこれらの評価を行っていく. ソフトウェアにおける適応の仕組みとして,人体模倣型ヒューマノイド腱悟郎を用いた適応型運動生成の研究開発に取り組んだ.外乱に対する適応型運動生成として,直立時のバランス維持と事前記憶を用いて踏み出し運動を生成し転倒を回避する身体制御を構築した.また,視覚や聴覚といった感覚情報を用いてヒューマノイドの体内内部モデルを更新し,オフラインで与えた運動軌道を修正し目的の運動を実現する動作制御を構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,循環に着目したヒューマノイド要素技術開発として柔軟素材を用いた拍動型ポンプの造形を行い,適応型ソフトウェアとして外乱や感覚入力に応じた運動生成を実現することができたため,ハードウェアとソフトウェアの両面から適応型ヒューマノイドの実現に関する研究開発を進展させることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,主に制作したハードウェア要素の性能評価を行っていく予定である.拍動型ポンプに駆動モジュールを取り付け実際に拍動させ,内部に流体を封入し配管を循環させることで流量,流速や水圧などを計測することや,適切な駆動制御方法についての検討を行う.性能比較として,ヒューマノイドの液冷要素として用いられている連続流ポンプとの比較も行っていく.評価に際し必要であれば数値モデル化やコンピュータによる流体シミュレーションを活用していく.また,外装要素と骨格要素への循環機能の付与についても制作と評価検証を進めていく.
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