研究実績の概要 |
本研究では,自身の運動や環境変化に応じて身体を適応させていく適応型ヒューマノイドの構成法を明らかにすることを目的としており,ヒューマノイドのハードウェアとソフトウェアの両面から研究開発を実施した.ハードウェア要素として,アクチュエータに外力応答の適応性を付与するバネ一体型のアクチュエータモジュールの設計開発や,体内循環機能を付与する拍動ポンプの要素技術開発を行った.ソフトウェア要素として,外乱に対する転倒回避を脚運動や踏み出しによって行うバランス制御や,視覚・聴覚といった感覚情報を用いてヒューマノイドの体内内部モデルを更新する運動制御を,腱駆動ヒューマノイド腱悟郎の制御システムとして実装し運動実験によって有効性を検証した. 本年度は主に,体内循環のための拍動型ポンプの評価検証を実施した.拍動型ポンプは, 中空球体に流路を付与した物体として3次元モデリングしており,シリコンゴムの柔軟素材を用いた構造と弁との一体構造である.このポンプと流路,筋アクチュエータ,流量センサからなる実験系を構築し,筋アクチュエータの駆動によってポンプを拍動させることで溶液の流れを生じさせ,開発したポンプが機能することと, 構造一体弁の機能を確認した.ヒューマノイドの体内に搭載するためには更なる研究開発と評価検証が必要であるが,本研究でポンプ単体での基礎実験を実施できたことで,今後の研究開発に向けた知見と経験を得ることができた.
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