自励振動型静電アクチュエータは,簡素な構造,スケール効果によるスモールスケールでの優位性,直流電圧での振動駆動など,マイクロロボット,特にそのワイヤレス化に適した特徴を有している.応募者はこれまでに本アクチュエータに弾性要素を付与するユニークな手法により,電極と可動子の衝突の際の機械的損失の低減を図り,エネルギー効率・駆動周波数を大きく向上させることに成功している.この成果はマイクロロボットのワイヤレス化を大きく進めるものである.本研究では,この成果を加速度的に発展させるため,最適な電極及び可動子構造そして駆動システムに関する研究を遂行していく.以上により,静電自励振動によるワイヤレスマイクロロボティクスという新しい分野を切り拓くことを志向している.前年度までには主に,1. 斜毛式移動機構と静電自励振動アクチュエータを用いた移動ロボットの外部電源での駆動,2. PLZTを用いた静電自励振動アクチュエータの単体でのワイヤレス駆動の2つの成果を上げていた.本年度は,前年度までの成果をもとに静電自励振動によるワイヤレス駆動ロボットの実現に取り掛かった.試作機は,斜毛式の移動機構と静電自励振動アクチュエータを組み合わせるとともに,上部にPLZT素子を取り付ける構成とした.また,振動子を倒立とすることにより,電極と接触しやすくする工夫を行った.駆動実験では試作機の上部から紫外光を照射し,ワイヤレスによる試作機の駆動に成功した.
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