研究課題/領域番号 |
19K14941
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
東郷 俊太 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (30751523)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ロボットハンド / ハンドシナジー / 主成分分析 / ワイヤ牽引機構 / 干渉機構 / ソフトロボット / ソフトハンド / ソフトフィンガー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,ヒトの手指運動の基底であるハンドシナジーを,機構表現としてロボットハンド実機に搭載することで,少数のアクチュエータで多様な手指運動を実現するロボットハンドを開発することである.今年度は,ヒトの手指運動のハンドシナジーの抽出及び,ロボットハンド開発のための基礎技術の開発を行った.本研究では,Human Grasping Database上の33種類全ての把持姿勢に加え,じゃんけん姿勢やジェスチャー姿勢などの6種類を含めた39種類の手指姿勢をLeap Motionで各姿勢10回ずつ計測した.計測した手指関節の位置データから,平均のリンク長および各姿勢における平均の関節角度データを求めた.求めた39種類の関節角度データに対して,主成分分析,独立成分分析,非負行列因子分解法を適用し,各次元削減手法でハンドシナジーを求めた.各手法で求めたハンドシナジーを混合し,3つのハンドシナジーによって元の姿勢との誤差を最小化する組み合わせを全探索にて求めた.その結果,主成分分析における主成分1から3を組み合わせることが誤差を最小化することを明らかにし,84.7%の姿勢を再現可能であることが明らかとなった.また,主成分1は4指全ての関節を握り込むシナジー,主成分2はCM関節以外を握り込むシナジー,主成分3は示指,中指を握り,環指,小指を開くシナジーと,それぞれ機能的な役割を持つシナジーが抽出された.今後はこれらのシナジーを機構表現する.また,ロボットハンドのための基礎技術として,柔らかい素材であるシリコーンを使い,ワイヤ干渉機構を適用したソフトフィンガー機構及び,二層柔軟層を持つソフトフィンガーチップの開発を行った.今後は開発した基礎技術をロボットハンドとして統合する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初計画していたハンドシナジーの抽出のための計測実験を実施し,機能的な意味を持つハンドシナジーの抽出に成功した.抽出されたハンドシナジーは各指の20の関節に対応した重みとなっているため,これを機構表現する.また,リンクパラメータの平均も求まったため,これをハンドの寸法データの参照値とする.また,ロボットハンド構築のための基盤技術,すなわちソフトフィンガー及びソフトフィンガーチップの開発を行った.以上より,本年度の研究計画はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度に抽出したハンドシナジーの機構表現に挑戦する.具体的には,Brownら(2007)の提案した,プーリードラム群と動滑車による機構の再現から始め,その小型化を目指す.本年度に抽出した3つのハンドシナジーの重みをプーリー径として機構表現し,それらの合成を動滑車機構で行う.ただし,キネマティックにハンドシナジーを表現しただけでは把持性能が十分でないという指摘もあるので(Catalano et al., 2014),ハンドシナジーによって再現されるキネマティクスが平衡点となるような,粘弾性をハンドに持たせる必要がある.本年度からすでに機構そのものに弾性を持たせるためのソフトフィンガーの開発を開始しているため,その知見を応用し,機構そのものに粘弾性を持たせたロボットハンドの開発および,その制御法の開発に次年度は取り組む.
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