本研究では、体外で骨格筋を培養しアクチュエータとして用いると共に、生体内の筋紡錘に相当するマイクロセンサを作製し、骨格筋アクチュエータと統合したモジュール構造を作製することを目指している。本年度は骨格筋アクチュエータのモジュール化に関して主に研究を行った。 骨格筋アクチュエータについては、マウス筋芽細胞(C2C12)を生体外マトリックス(ECM)の一種であるマトリゲル内に分散させ、テンプレートと呼ぶ型に流し込み固めることで作製した。この作製の際に、筋芽細胞+マトリゲルの両端に3Dプリンタによって作製した腱構造を付加した。腱構造には穴が空いており、筋組織と腱構造との接続を実現すると共に、腱構造をマイクロロボット筐体表面など他の構造物と接続することも可能としている。作製する腱構造の材料、形状を工夫することで、筋組織が培養中に腱構造から外れることなく30日以上培養可能であることを確認した。 また、筋組織が発生する収縮力をリアルタイムで計測し、フィードバック制御へと応用可能とするため、ロードセルを用いた筋組織アクチュエータの駆動力計測システムを開発した。これにより、外部からの電場刺激に応じて発生する筋収縮力をリアルタイムで計測し、電場刺激強度を調整することで収縮力を調整するフィードバック制御を実現するための基盤構築が完了した。筋組織の収縮量を計測するセンサとしては、液体金属ガリンスタンを用いたフレキシブルセンサの開発を昨年度から継続して行っており、予測される筋収縮量に対してセンサが反応可能であることを確認した。
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