研究実績の概要 |
本研究では,電気自動車に適用するワイヤレス給電システム起因の漏えい磁界を低減することを目標とし,ワイヤレス給電用伝送コイルと高周波電源の一体化技術を開発した。本コンセプトにより,ワイヤレス給電用伝送コイル内部に高周波電源が内包される形となるため,高周波電流が通流する電力ケーブルが不要となり,電力ケーブルから放射される漏えい磁界の大幅な低減が可能となる。 本年度は22kWワイヤレス給電システムの試作機を開発し,10m電波暗室において漏えい電磁界の測定評価試験を実施した。なお,本評価試験は,国際無線障害特別委員会(CISPR)が定める漏えい磁界ガイドライン(CISPR11, Class A, Group 2)に対する適合性評価とした。結果,電界についてはガイドラインが定められている30MHzから1GHzの全周波数帯域において,十分な余裕をもってガイドラインを達成可能であることを実証した。また,磁界についてもガイドラインが定められている150kHzから30MHzの周波数帯域において,ガイドラインを達成可能であることを確認した。なお,ワイヤレス給電システムの駆動周波数である85kHz帯については,現在のところCISPR11で定められたガイドラインは存在しないものの,最大74.9dBuA/mであり,現在改定作業中の次期ガイドラインを達成する見込みが得られた。 加えて,人体防護のための漏えい磁界速度を実施し,国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が定めるガイドラインに対する適合性調査を実施した。本結果より,伝送コイルから340mm以上離隔距離を取ることで,システムから生じる漏えい磁界が人体防護のためのリファレンスレベル未満となることを実証した。
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