研究実績の概要 |
本研究は、化合物パワー半導体によるMHz級高周波駆動電力変換回路に用いる磁性材料モデリング、磁気部品設計、回路実装に関わる応用技術の検討を実施する。化合物パワー半導体によるMHz級のスイッチング周波数で高電力密度変換器を作成した場合、受動素子に対する発熱負担が大きくなり,中でもインダクタやトランスをはじめとする磁気部品で過度な損失の発生・発熱が強いられる。 これら問題を解決するため, 本研究はMHz駆動対応の磁気部品のモデリングや設計、発熱抑制技術、電力変換回路への実装技術の確立が目的である。当該研究のアプローチとしては磁性材料の選択から,これらの材料特性のモデリング, 回路への実装手段,シミュレーション, 実証的評価を総合的に実施するものである。 本年度では, 2つの位置づけから検討を行った。まず1つ目は磁性体コアの瞬時電流値に応じて非線形性に変化する比透磁率のモデリングやその温度依存性、また非線形性を考慮した応用磁気設計技術について検討をした。一般的にMHz級の電力変換器ではソフトスイッチング技術が用いられるが、このソフトスイッチングを実現する上では安定した一定のインダクタンスが求められることが多い。ただし、今後の登場する幅広い移動体(航空機、ドローン、車載用途など)で寒冷地や温暖な土地での応用・適用を考えた場合、温度変化によって大きくインダクタンスが変化する材料もあるため、温度依存性を考慮したモデリング、シミュレーション手法の立案、実験による整合性確認を確認することは重要であり、本年度ではその基盤技術を確立することができた。 2つ目は、軟磁性体の基礎文献調査並びに基礎試作も実施した。今後は回路動作を想定した適切な材料選択技術を確立するとともにMHz級電力変換回路に搭載した際の振る舞いについて実証評価を進めていく予定である。
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