研究課題
液体水素移送用ポンプ向け超伝導電動機の開発を行っており,本課題では小型テスト機による動作実証と実機製作への具体的な課題の抽出を目的としている.本年度は,当初予定していた超伝導バルクを使った全超伝導電動機の設計・解析のほか,回転子に幅広の超伝導薄膜線材や銅円筒を用いた電動機の試作・回転試験も行った.具体的な研究実績を下記に示す.(1)超伝導バルク材を回転界磁子とする全超伝導電動機の小型テスト機の設計を行い,各部材を製作した.磁場中冷却法による着磁を可能とする構造を考案し,設計に反映させた.保有する巻き線機を使い,超伝導線材の基本的なレーストラック型コイルの巻き線技術を確立した.電磁解析より設計したテスト機の着磁磁場,出力などを確認した.下記の(3)の検討から,軸受けに超伝導磁気軸受けを選定し,その非接触回転・安定性を実験により確認した.(2)幅広超伝導線材の磁場遮蔽効果を利用しトルクを得る超伝導電動機を試作し,その原理検証を行った.3cm幅の幅広超伝導線材を界磁子とする数W級テスト機が同期回転することを確認した.(3)回転子に銅円筒または超伝導線材を用いた超伝導誘導電動機の設計,解析,試作および回転試験を行った.試作したいずれの超伝導コイルも巻き線による特性の劣化はないことを確認した.回転試験より,最大270 rpmの回転速度を確認した.より高速回転・高出力のためには軸受構造の改良が必要であることが分かった.
2: おおむね順調に進展している
超伝導バルク材を界磁子とする全超伝導電動機の設計・製作は予定通りに進行しており,次年度の前半期間で試験を開始する予定である.また,幅広の超伝導線材を界磁子とする小型全超伝導電動機の回転試験により原理検証も完了した.さらに当初予定していなかった銅円筒を回転子とする超伝導誘導機の試作・試験も行い,多くの知見が得られた.よって,本研究課題は順調に進展していると判断した.
超伝導バルク材を用いた全超伝導電動機の各部材の製作が完了しつつあるので,各部材を組み上げ,微調整を行う.その後,3次元巻き線機による鞍型超伝導コイルの試作を行い,鞍型コイルの巻き線技術を確立する.製作した超伝導コイルの臨界電流特性を確認後,電動機として組み上げ,まずは超伝導バルク界磁子の着磁試験を行い,磁化の分布や強度を検討する.さらに超伝導電動機の電動・発電試験を行い,全超伝導電動機の動作実証と各特性の評価を行う.それらの実験的評価から,実機製作への具体的な課題抽出とその解決方法を検討する.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 11件、 招待講演 5件) 備考 (2件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 30 ページ: 5204106
10.1109/TASC.2020.2979157
巻: 30 ページ: 3601905
10.1109/TASC.2020.2974705
巻: 30 ページ: 3602605
10.1109/TASC.2020.2971671
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https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/searchSP/details/K006656/index.html
https://researchmap.jp/miurashun/