研究課題
本研究では、大気圧近傍でわずかに減圧した中気圧のプラズマを用いて、大気圧プラズマの利点である処理対象の多様性を確保したまま、ラジカルフラックスの向上と均一処理の実現を図る。中気圧下では、ラジカルの密度を大きく損なうことなく、ラジカル寿命を延ばすことができると予想している。これを検証するため、0.1気圧~0.9気圧のプラズマにおける主要ラジカルの密度をレーザー分光法で測定する。当初の予定では、2021年度にHe混合プラズマ中でのN原子、O原子を測定予定だった。一方、2020年度末のO原子測定において、通常O原子生成量が少ない陰極近傍で、陽極近傍の5倍以上のO原子生成量が観測された。そこで本年度は、中気圧プラズマにおけるO原子の空間分布測定と、最適条件探索および生成機構解明を優先して実施することにした。0.2~0.9気圧の中気圧酸素プラズマにおいて、二光子励起レーザー誘起蛍光法でO原子密度の空間分布を観測した結果、陰極近傍でのみ顕著なO原子生成領域が確認され、0.5気圧程度でO原子生成量が極大となった。また、プラズマ生成に用いる電圧パルスの時間幅を変えてO原子分布を測定した結果、陰極近傍の顕著なO原子生成領域は短パルス放電では発生せず、長パルス放電でのみ生じることが分かった。放電発光写真とO原子分布を比較して考察したところ、非発光領域でもO原子が生成されていることが分かった。このことから、放電発光に寄与しない低エネルギー電子が、陰極近傍の顕著なO原子生成に寄与している可能性がある。上記の研究結果より、物質酸化過程で重要なO原子の生成において、中気圧長パルス放電が有効であることが示された。
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