近年,電力貯蔵装置の需要の高まりから,内部に搭載される蓄電池を適切かつ安全に運用するための電池管理システムの需要も飛躍的に高まっている。電池管理システムには,各セル間の電圧のばらつきを補正するセルバランス機能と蓄電セルの状態を常時監視するセル監視機能が主として求められるが,これまで両者は切り離された単一のものとして考えられており,効率や回路規模の面で課題があった。本研究では,セルバランス機能とセル監視機能を1つの回路に統合し,互いの機能が相補的に作用することで高効率なセルバランス機能と高精度なセル監視機能を両立した,革新的電池管理システムの構築を目指す。 本年度は,昨年度に引き続き,本研究で構築した温度変化による各パラメータ変動の影響を加味した補正手法について24V級蓄電モジュールを利用した実機検証を進めた。また,電池管理システム上で用いられている回路素子のパラメータ変動の影響についてもシミュレーションならびに実機検討を行い,回路素子のパラメータ変動が電池管理システムの推定精度に与える影響について明らかにし,回路素子のパラメータ変動を検出可能な制御手法を構築した。加えて,これまでに本研究で得られた成果について査読付論文としてまとめ,電気学会論文誌に投稿し,アクセプトされた。
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